これまで、教育分野におけるテクノロジーの浸透は嘆かわしいほど遅く、もはや滑稽なくらいでした。行政機構や前例主義、予算不足が妨げとなり、教育業界はカタツムリのような速さでしか進展してきませんでした。このような状況のため、販売サイクルが耐えがたいほど長く、ベンチャーキャピタリストたちからは投資の難しい分野として認識されていました。
たとえ様々な複雑な問題を乗り越えられたとしても、その年度のIT関連予算の申請が通らなければ、多くの場合、次は1年後まで待たなければなりません。つまり、優れた製品を作ることよりも、それを売り込み、ビジネスとして展開することの方がよほど難しい状況だったのです。
しかし、新型コロナウイルスによってこれらの障壁の多くが取り除かれ、本来なら何年もかかるはずだったテクノロジーの導入がほんの数週間で押し進められるようになりました。これまでの記事ではコロナウイルスによってもたらされる「変化」に注目しましたが、教育の場合、変化というよりは「加速化」の方が顕著です。
オンライン教育ツールは何年も前からありますし、デジタル化が進むのは必然の流れでしたが、今回の危機によってそれに立ちはだかっていた障壁がいくつも打ち破られることとなりました。教育分野で働く人たちも、他に選択肢がないので、様々な新しいテクノロジーを試しています。流れを止められなくなった今、教育分野においてもテクノロジーによる変化が受け入れられていくのではないでしょうか。