新型コロナの「第二波」はどう乗り越えるか 抗体検査と超過死亡が示す現実

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第二波にはスウェーデン方式で


新型コロナウイルスの流行は長期化するだろう。米ミネソタ大学の研究者たちは、流行は1年半から2年間は続くだろうと予想している。

第一波では多くの国が都市を封鎖した(ロックダウン)。現在検証が進んでいるが、その効果には否定的な意見もある。米「ウォール・ストリート・ジャーナル」は4月27日に「都市封鎖の効果、データは否定的」というサイプレス・セミコンダクター社CEOのT.J.ロジャース氏のオピニオンを掲載した。

この記事では、人口当たりの死者数と都市封鎖までの関係が調べられているが、明らかな相関はなかった。著者たちは、死亡率ともっとも相関したのは人口密度で、ニューヨーク州は都市封鎖によって恩恵を受けたかもしれないが、人口密度の低いウィスコンシン州では影響はなかったと議論している。

感染が終息するには人口の6〜7割が免疫を獲得するしかない。もっとも安全なのはワクチンを接種することだ。しかしながら、ワクチン開発には時間がかかる。第二波の対策では、ワクチン開発を急ぎながら、集団免疫戦略を推し進めることになるだろう。そして、都市封鎖は必要最小限に留めることになるだろう。

これは、第一波でのスウェーデンのやり方に近い。スウェーデンでは、高齢者にのみ自宅待機を要請し、それ以外の制限は課さなかった。一時期、高校や大学を休校としたが、小中学校は休校しなかった。50名以上の集会禁止、不要不急の旅行の禁止、小売店やショッピングモールへの入店者数の制限を課したものの、多くの店舗やレストランは閉鎖しなかった。ボルボの自動車工場は一時期閉鎖されたが、その後、再開された。

5月6日現在、スウェーデンで新型コロナウイルスと診断された感染者の死亡率は12.2%。厳しい都市封鎖を実施したフランス(19.3%)、英国(15.1%)、イタリア(13.7%)より低い。今後、超過死亡のデータを用いた再検証が必要だが、第一波で抗体保有率が25%に到達したことは特筆に値する。新型コロナウイルスと上手く付き合ったことになるのではないか。

日本では、いまだに「接触の8割減」を主張する専門家が多いが、果たして、このやり方でいいのだろうか。第一波の経験を踏まえ、もっとメリハリの効いた対応が必要ではないのか。

抗体検査や超過死亡の結果も踏まえて、日本での流行状況を再評価し、いかに経済活動を継続させながら、死者を減らすための戦略を見直すべき時期にきている。

連載:現場からの医療改革
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文=上 昌広

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