テクノロジー

2020.05.17 08:30

中学生が東大教授に直撃「ブロックチェーンは世界共通インフラになるか」


ブロックチェーンは、実はまだまだ「研究投資」のフェイズ


松浦:仮想通貨や暗号通貨が世の中にもっと普及していくことによって、結局世の中にどういう変化が起きるのか。1800年代に起きたこととそっくりになるかもしれないんじゃないか?という話ですね。

それを予想するのは難しいんですが、たとえば中央銀行の人たちも、決して自分たちが儲かりたい、権利の王様になりたいわけではなく、社会を安定して支え続けるために通貨という存在が必要だと考えているんですね。

中央銀行がビットコインに規制をかけようとしているのは、マネーロンダリングほか、犯罪に悪用されることを懸念してのことといわれていますが、実は彼らが気にしているのは「人々をただ野放しにしていると、社会が長期間安定して動かない」という概念の下で、金融政策が同じように効くかどうか、ということ。日銀は欧州中央銀行と合同で研究を続けています。

仮想通貨の便利さ、もしくは不便さが、1800年代の、より中央集権的な状況に移る前の個人管理の状況と同じか、というのは、今はまだ十分にいえないんじゃないでしょうか。

吉本:ブロックチェーンについて何か問題が起こるとしたら、どういう所で起こるでしょうか。



松浦:ブロックチェーンがどの程度「共通インフラ」になるかは、現時点ではまだ研究段階である、実用段階ではない、という認識を、社会がちゃんと持てるかにかかっています。

つまり研究投資がちゃんとされるかどうかが本当は大事なんです。

実用化投資にばかりいくと、みんながそれぞれてんでバラバラにシステムを作っていく。それらの独自サービス自体は細々と続くかもしれないけど、本当にブロックチェーンが持っている可能性、ポテンシャルを最大限生かすところに行けない。

それどころか独自路線で成功してしまうと、皮肉なことにそれ自体が「残念な障害」になるかもしれないんです。それはブロックチェーンに限らず他の色々な製品や技術分野でもいえると思いますが。
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構成・文=石井節子 写真=帆足宗洋

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