「量子計算機を凌駕」する技術を
坂本:これからはどんな技術が一番必要になると思いますか?
松浦:将来的には、人類が普通に宇宙に住むようになっても使えるセキュリティ技術、それは必要になるでしょうね。
今、われわれはみんな地球に住んでいるので、いよいよとなれば「リアルな空間で物理的なやりとりができる」ことが大前提になっていますよね。たとえば、何らかの理由で相手を罰したければ、直接行ってこらしめることもできる。
ところが宇宙に住むようになったら、何光年も離れたところにも人がいて、つながっていて、そういう時にも通用する技術は何だろうか、というようなことを考えたりしますね。
それからもう一つあります。──皆さん、量子計算機という言葉は聞いたことがありますか?
発明はすでにされていて、お金がかかるので実用化されていないだけなんですが、実は、今使われている暗号技術や暗号アルゴリズムのほとんどは、量子計算機が普及したらすぐに破られて使えなくなる、という見方があります。
なので、そういった時代になっても使い続けられるブロックチェーンを、きっちり準備する必要があると考えています。
ではもし、今すぐ量子計算機が普及したら、ブロックチェーンやビットコインみたいな通貨は全部ダメになりますか? という質問をよく受けますが、それに対する答えはイエス&ノー。2つの側面があるんです。
というのも、すでに持っているお金、財布に入っているお金は大丈夫なんです。なぜかというとタイムスタンプだから。そういう意味では完全に破綻するわけではない。しかし、ある瞬間からは使えなくなる。
そこをどうやって突破するのか、という研究はやっておくべきだと思うんですね。候補となる技術はすでに色々あるんですけれど、まだまだ初期の研究段階ですね。
そういう新しい技術に挑戦したかったら、ぜひ皆さん、数学を一生懸命勉強したり、情報学関係の本を読んだりすると、よいかもしれません。
前編はこちら:「ブロックチェーン」とはそもそも何か? 中学生が東大の専門家に質問したら