政治的にはトランプ氏と敵対している民主党のギャビン・ニューサムカリフォルニア州知事さえも、トランプ氏を称賛したほどだ。
アメリカでは、ロックダウンを宣言すると同時に、3月27日には総額230兆円というアメリカ史上最大級とも言われる財政措置が取られた。そのひとつが年収7万5000ドル以下の世帯に対し、最大で大人1200ドル、子ども500ドルを直接支給するというものだ。申請は不要。ソーシャルセキュリティナンバーをもとに、銀行振り込みもしくは小切手が送付されるという。「私の周囲ではすでに給付金を手にしているようです」(世野氏)
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それだけではない。電気、水道、ガスなどのライフラインは優遇措置が取られているという。「電気も水道もガスもすべて、たとえ支払いが滞っても止められることは一切ありません。もちろん延滞料金もなし。さらにこれまでの罰金もすべて帳消しになります。ガス料金は支払いが難しい人は申請すれば20%引になります」(世野氏)
また、シリコンビーチで働く人の多くが住んでいるプラヤビスタでは、3月の段階から「レントアシストプログラム」がはじまったという。賃貸物件の場合、このプログラムに申請すると、4、5月の家賃は半額(オーナーによって内容が異なる場合もあるようだ)。驚くのはこれらの措置が、給付金が配られるより前に行なわれたということである。
プラヤビスタで実施されている「レントアシストプログラム」
救済資金は国家予算ベースでなく、「現状ベース」で
「今回、アメリカ人にしてはみんなおとなしくしていますが、それは休業要請と補償がセットになっているからでしょう。政府はなによりもまず、衣食住の安定を確保した。『安心してください。休んでもらう代わりにみなさんの最低限の生活は補償します』という宣言をきちんと態度で示したのが効いたのだと思います。日本との違いはまさに、金額ではなく『誠意』の問題。トランプ政権の対応に誠意を感じ取ったからこそ、アメリカ人はロックダウンにもきちんと応じているのだと思います」と世野氏。
アメリカ政府はそのほか、自営業や単発仕事の人も含めた失業給付の拡充、ホテルや航空業界など新型コロナウイルス感染拡大の影響で大打撃を受けている企業への融資には総額5000億ドル。中小企業には3490億ドルを用意し、事業と雇用を維持し従業員に給与を支払う場合には元本の返済は不要だという。さらに、アフターコロナ対策として約400兆円。トータルにして700兆円近くを準備している。
すでに4月24日には、52兆円もの追加経済対策を発表した。中小企業の資金繰り支援制度の拡充のほか、アフターコロナ策としてインフラ投資計画に約220兆円を投資するという。