カール:鼻の中は湿っていて、鼻水でぬるぬるしています。健康な人でも鼻の中は鼻水でいっぱいなんです。その鼻水の中をウイルスは漂いますが、この時点では何も起こりません。たいていの場合、ウイルスはしばらく鼻水の中にいたあとに分解してしまいます。ウイルスは鼻水の中からどこにも行きませんし、病気も引き起こしません。
それでも、場合によってはあなたを病気にしてしまいます。
マイケル:どんなふうにして病気を引き起こすんですか?
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カール:ウイルスは鼻の中や、その先の気道の粘膜層を漂います。ここで思い出してください。気道は細胞でできています。気道の内側には100万の100万倍個の細胞があります。ウイルスの仕事は、その細胞の中に入ることです。
コロナウイルスには王冠のようにトゲがたくさん生えていると言いましたね。そのトゲが鍵の代わりになります。鍵でできた王冠を想像してみてください。そして細胞の表面には鍵穴がひとつあって、そこに鍵が差し込まれると細胞は開きます。ようするに、ウイルスはトゲのひとつを使って細胞にくっついて、その中に押し入ることができるんです。
さあ、こうやってウイルスは気道の細胞の中に入り込みました。そして中に入ったとたん、ウイルスは細胞を乗っ取ります。細胞に、ああしろこうしろと命令するんです。するとその細胞は気道の細胞としての役割を果たさなくなります。代わりに、ウイルスを生み出す小さな工場になります。つまり“ウイルスに感染する”ということは、ウイルスに細胞を乗っ取られるということなんです。
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カール:ウイルスに乗っ取られて工場にされた細胞は、何百万個ものウイルスを作っていきます。新たに生み出されたウイルスは泡に包み込まれ、細胞の皮膚、つまり科学者が〈細胞膜〉と呼んでいるところまで上がっていきます。そして細胞膜にくっついたとたん、泡は中身の新しいウイルスを放出します。その何百万のもの新しいウイルスは気道内を漂います。
そしてあなたが息を吸ったり吐いたりしているうちに、気道内のウイルスは徐々に下へどんどん降りていきます。そしてとうとう肺の細胞を感染させます。
マイケル:なるほど。そうやって感染したら、どんな感じがするものなんですか? 多くの子供たちがその点を知りたがっています。