マイケル:えっ? ウイルスもウイルスに感染するんですか?
カール:ええ、そうなんですよ。だからウイルスは、ものすごく効率よく繁殖できるんです。
4億年前に地球に生命が誕生した頃から、ウイルスはすでに繁殖していたと考えられています。なので、地球で最初に誕生した細胞はすぐにウイルスに感染しました。
マイケル:それでは、わたしたち人類はいつウイルスを「発見」したんですか?
カール:人類は大昔からウイルスに感染して病気になっていました。ウイルスが引き起こす天然痘などの病気は、おびただしい数の人間の命を奪ってきました。しかし、その元凶が「ウイルス」というものだとわかったのは19世紀の終わり頃です。
マルティヌス・ベイエリンクというオランダの科学者が大発見をしたのです。ベイエリンクは、「タバコモザイク病」というタバコの葉の病気の研究をしていました。何が原因でタバコの葉はこの病気になるのか知ろうとしたベイエリンクは、病気にかかったタバコの葉をすりつぶして水に溶かし、その水をフィルターで漉して健康なタバコの葉に注射してみました。使ったフィルターは、細菌などは通さないほどものすごく目が細かいものでした。すると、健康な葉はタバコモザイク病にかかったのです。
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カール:つまりその水のなかに、タバコモザイク病の元が入っていたということです。ベイエリンクはこの病気の元を、ラテン語で「毒」を意味する「ウイルス」と名づけました。
ベイエリンクが考えていた「ウイルス」は、今のわたしたちが知っているウイルスとは少し違うのですが、でもベイエリンクはそれが「タバコの葉を病気にするもの」であることを突き止めたのです。
マイケル:それでは次の質問に移りましょう。次は、「みんなわかっているつもりでいるけど、本当はちゃんとわかっていないこと」についての質問です。
──ミシガン州のグランド・ラピッズに住んでるエリオットです。歳は4歳半です。ウイルスって何ですか?
カール:はい、これはいい質問ですね。科学者にとっても、ウイルスの正体は長いあいだ謎でした。それでは、ウイルスはこんなものだとイメージしてみましょう。そうすれば一番よくわかると思います。では、いいですか?
まずウイルスを、とても小さな泡だと考えてみてください。どれほど小さいのかといえば、ほんとうに小さいのです。小さなひと粒の塩の上にウイルスを一列に並べようと思ったら、100の100倍の100倍個も必要です。もちろん知ってると思うけれど、生き物は細胞という小さな小さな組織でできています。