スタンフォード大教授が説く、すぐできる「睡眠の質を高める」コツ

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先の5つで当てはまるものが多ければ、睡眠偏差値が低く、質の良い睡眠がとれていない可能性がある。

しかし、これは睡眠偏差値が低い人に見られる共通の生活習慣で、因果関係はまだわからない。これをやめれば直ちに睡眠の質が上がるということではないが、どれも健康を害する一因にはなりえるので避けるにこしたことはない。

一方で就寝前に強い光を視覚にいれる行為は、蛍光灯やLEDに含まれるブルーライトにより睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌を阻害する原因となる。就寝前には部屋の照度を落とし、暗くすることや、寝室のライトは暖色系にするなどの工夫をすることをお勧めする。もちろん寝る前のスマホやパソコンの使用も避けるべきだ。

深部体温をコントロールせよ


そして2つ目に、より質の高い睡眠の為に重要なのが、寝始めにでてくる約90分間持続するノンレム睡眠を、よりスムーズに深い状態にすること。これを「黄金の90分」と呼んでいる。この良し悪しで、睡眠全体の質が左右されると言っても過言ではない。

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なぜなら、この入眠初期に訪れるノンレム睡眠によって、眠気から解放され、疲れがとれるからだ。加えて、以下のような重要な機能を果たしている。

・睡眠時に分泌される成長ホルモンの70~80%が分泌され、新陳代謝や細胞の増殖増進し、筋肉や骨を維持するのに役立つ
・免疫力や自律神経の調整をし、心身ともに健康な状態に維持する
・脳内の老廃物の除去や嫌な記憶を整理して、すっきりとした脳のパフォーマンスを維持する

さて、この黄金の90分をつくりだすためのワンポイントアドバイスが、赤ちゃんのような「深部体温のコントロール」である。

赤ちゃんが眠たくなるとき、手足がポカポカとあたたかくなる状態は、よく見る現象である。これは手足から熱を放出し、入眠時に深部温度を下げているから。大人も同様に、就寝時に深部体温が下がるが、外部の環境や加齢とともにそのコントロールがスムーズにいかなくなることがある。

つまり、黄金の90分を生み出すためには、「深部体温を下げる」コツを知り、その環境やルーティーンを日常生活に取り入れることが重要だ。そこでわたしたちがおすすめするのは、下記の3つだ。

1. 寝る90分前に約40℃のお風呂に15分程度入浴すること
2. 寝具選びは、通気性の良く、自分にからだにフィットしたものにすること
3. 就寝時の寝室環境は、蒸し暑くなく、快適で涼しいと感じる温湿度にすること

入浴により深部体温は一時的に上昇するが、この条件では、入浴後90分後には入浴しないときの体温にもどり、その後深部体温がより下がることが分かっている。このタイミングで就床すれば、寝付きが早く入眠直後に深い睡眠に繋がる。

また温泉では体温と睡眠の効果がより高いこともわかっている。より良い睡眠を求める方は、自宅で炭酸入浴剤なども活用すると良いだろう。
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編集=新國翔大

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