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2020.04.14

ピーター・ティールの「Palantir」がコロナ対策で米政府と提携

Michael Vi / Shutterstock.com

企業価値が200億ドル(約2兆1500億円)とされるビッグデータ解析企業の「パランティア(Palantir)」が、新型コロナウイルスの感染拡大防止を目指す米国政府から、1730万ドルの契約を受注した。

フォーブスの調査で今回、パロアルト本拠のパランティアが獲得したディールは、米国政府がコロナウイルス関連でシリコンバレー企業と結んだ契約としては最大の規模であることが確認された。

パランティアは4月10日付けで、合衆国保健福祉省(NHS)傘下のプログラム・サポート・センター(PSC)と契約を結び、連邦政府に対しサービスを提供していく。フォーブスの取材で、このディールが新型コロナウイルス関連での緊急対応に向けたものであることが確認済みだ。

フォーブスは以前の記事で、パランティアが米国の医療機関やCDCから収集した匿名データを「Palantir Foundry」と呼ばれるプラットフォームで分析し、使用可能な病床数や人工呼吸器の数を把握していると指摘した。

同社は今回締結した契約で、専門的知識を持たない人々にもデータ解析を可能にするGothamと呼ばれるプラットフォームをNHSに提供しようとしている。パランティアは国土安全保障省(DHS)に属する沿岸警備隊との間でも800万ドルの契約を結び、新型コロナウイルスに対抗するテクノロジーを提供しようとしている。

パランティアと沿岸警備隊からのコメントは得られていない。

関係筋によるとパランティアは現在、少なくとも12の政府機関とコロナウイルス関連のプロジェクトを進めており、英国のNHS(国民保健サービス)も、データ解析にFoundryを用いているとされる。

パランティアと英国の保健当局との提携は、一見すると問題のない取り組みに思えるが、事情に詳しい人々らは懸念を示している。パランティアはCIAなどの米国の諜報機関と密接な関係を築いており、米政府系の投資機関のインキュテール(In-Q-Tel)から多額の出資を受けているからだ。

米国政府は新型コロナウイルス対策で、複数のテクノロジー企業と提携を進めている。テキサス州に本拠を置くデルも、米国退役軍人会への技術提供で3500万ドルの契約を締結した。

アップルとグーグルも4月10日、プライバシーを保護しつつ感染者のトラッキングを行うアプリのプラットフォームを、共同で整備すると宣言した。

しかし、政府から獲得した契約金額の大きさでは、パランティアが競合らの一歩先を行っていることは確かだ。

編集=上田裕資

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