Forbes JAPAN編集部も職場で全員が揃うことがなくなり、文字でのコミュニケーションに頼る日々。メディアの編集部でありながらも、活字の大切さや、言葉の重み、伝えることの難しさを痛感しています。
こんな今だからこそ、本を読みませんか? 漫画も雑誌も、文庫本も、写真集も。形は違えど何かを伝えようとしているものには違いは有りません。友人や家族、恋人との会話のネタに、あなたに読んでほしい一冊をまとめました。
「それから」 夏目漱石(新潮文庫)
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働き方や生きがいが注目されて、「ライスワークか、ライフワークか」と言われるようになったけど、漱石は100年以上前に、「パンのために働くのか?」とその視点を持っていた。「ポテトがダイヤモンドより大切になったら、人間はもうダメである」という表現がとても強烈。
ほかにも、偽善は自然に敵わないとか、主人公代助の世の中の見方が鋭くてズバズバと刺さる。そして悲しい結末でなおさら、人間らしく生きるのは個人と社会のバランスってなんだって考えさせられる。啓発本、Howto本が溢れる中で、改めて小説ってすごいって思わせてくれる一冊。(ウェブ編集部 鈴木奈央)
「巨大化する現代アートビジネス」ダニエル グラネ&カトリーヌ ラムール著(紀伊國屋書店)
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ギャラリスト、アーティスト、投資家など、現代のアート界を牛耳る重要人物を取材。なぜ村上隆の評価が世界中で高いのか、ダミアン・ハーストの、サメをホルマリン漬けにした作品(「生者の心における死の物理的な不可能さ」)が約800万ドルで売却された理由、中国とアメリカが80%近くを占める競売市場で、日本は1%未満となぜ立ち遅れたのか。
特殊なアート市場が、少しだけ見えてきます。(ウェブ編集部 守屋美佳 @mikamoriya1)
「ハチミツとクローバー」 羽海野チカ (白泉社)
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王道少女漫画に飽き飽きした方にこそ贈りたい作品。冴えない極貧男子美大生が片想いするのは、コロポックル似の天才女子美大生。主人公のピュアな恋ももちろんだが、魅力的なのは彼らを取り巻く個性的な登場人物たちだろう。
年上美女に片思いするあまりストーカー化する先輩、美脚で怪力なキャンパスのマドンナ、出処不明の大金をばらまく大学8年生。それぞれが恋や将来に葛藤する姿を読み進めるうちに、なんだか彼らと友達になれた気がしてくる。所々に挟まれた、作者のセンスが光る小ネタにも注目だ。(ウェブ編集部インターン 大竹初奈)
「シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成」安宅和人(NewsPicksパブリッシング)
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今年2月発売。ヤフーCSOで慶應義塾大学教授の安宅和人氏の著書です。ここ数年で著者が提言してきた、「AI×データ」の時代を日本がいかに世界へ追いつき渡り合うかという、現状分析から具体的な対策、未来への展望が書かれています。
400ページ強ありますが、新型コロナの影響で先行き不透明な今だからこそマストで読むのをおすすめします。これを読んで行動するか否かで、日本の行く末が変わると思います。(編集部 加藤智朗)