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「ネットフリックス」では、レベルの高い人材を保つために、採用・育成・解雇を迅速に行い、成果主義を追求している。

この企業カルチャーを根付かせているのが、共同創業者でCEOのリード・ヘイスティングスだ。

彼には毎年読み直すというビジネス書があり、それが自身やネットフリックスの考えに影響を与えているという。ネットフリックスの企業文化とともに、ヘイスティングスのバイブルとも言える書籍を紹介する。

ネットフリックスの創業者リード・ヘイスティングス


リード・ヘイスティングスは、1960年アメリカのボストン生まれ。ボウドイン大学卒業後、83年に非営利団体の「平和部隊」に入隊し、数学教師としてアフリカで教鞭をとる。帰国後はスタンフォード大学大学院に進学し、コンピュータ科学分野の修士号を取得した後、IT企業を経て、91年にソフトウェアの開発を行う「ピュア ソフトウェア」を創業した。

96年にはマーク・ランドルフが率いるソフトウェア会社「エイトリア&インテグリティ」を買収。この買収をきっかけにランドルフと交流が始まり、97年に一緒にネットフリックスを立ち上げた。創業当初はヘイスティングスは経営には携わっていなかったが、98年にCEOに就任して以来、経営の指揮をとっている。

動画配信サービスネットフリックス


ネットフリックスは月額定額制を主にしたアメリカの動画配信サービス企業。DVDの郵送レンタルサービスからスタートし、2007年からストリーミング配信を開始して規模を拡大していった。

映画だけでなく、オリジナルシリーズのテレビ番組や子供向け番組、ドキュメンタリーなどの動画を見放題で提供しており、19年12月末時点での有料会員数は、1億6709万人にのぼる。日本では15年からサービスを展開している。

独特の企業文化を確立


ネットフリックスは独特の企業カルチャーが有名だ。個性的といわれる企業文化の一例が以下の5つだ。

・社員はあらゆる部署のミーティングに参加することができる
・社内で行われているプロジェクトが、所属する部門だけでなく全従業員に共有されている
・有給休暇制度はない。社員が必要だと思っただけ、適切な休暇を取ることができる
・成果が十分でなければすぐに解雇
・結果を出す社員には業界一の報酬を与える

社員の「自由と責任」を追求し、結果にこだわるスタイルは、2006~2007年頃に行った人材変革による影響が大きい。

当時、資金繰りに困り、優秀な社員以外、約3分の1の社員を解雇せざるを得ない状況に陥った。人材不足が懸念されていたが、いざこの体制がスタートすると、以前よりも生産性が向上し、社員のモチベーションも高まったという。

リード・ヘイスティングスのバイブル


ヘイスティングスが自身のビジネススキル・思考に影響を与えていると話す本が、1992年に発行された『Beyond Entrepreneurship: Turning Your Business into an Enduring Great Company』(ジム・コリンズ、ウィリアム・C・ラジアー共著)。


Beyond Entrepreneurship: Turning Your Business into an Enduring Great Company Paperback by James Collins, William C. Lazier

世界的に有名なビジネスコンサルタントである2人が、500ページにわたりまとめた経営哲学の本だ。企業の実例をあげ、ビジョンの設定の重要性、意思決定、組織づくりなど、主にベンチャー企業や小規模事業を「永続的に成長する企業に育てる」ために必要な企業経営の基礎と、リーダーがインプットしておくべき経営戦略を記している。

ヘイスティングスはこの本を毎年読み直すことで初心に返り、経営を見直すきっかけにしている。起業を視野に入れている若者にぜひ読んでほしい本だと度々インタビューで述べている。

文=池原裕美 写真=gettyimages

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