経済・社会

2020.04.04 12:00

南アのロックダウンと格差の現実。これはもう他人事ではない

ロックダウン以前は南アフリカ国旗だった垂れ幕は、自宅待機の啓発に交換された(ケープタウン市内)

筆者は現在、ロックダウンが行われている南アフリカはケープタウンにいる。

3月23日夜、シリル・ラマポーザ大統領が、3月27日から4月16日までの21日間にわたる全国規模のロックダウンを発表。ラマポーザ大統領は発表の約1週間前にも会見を開き、非常事態宣言とともに、渡航制限や部分的な国境封鎖の策を開始していた。

そのため、ロックダウンの発表は予測可能ではあったが、全土封鎖とともに南アフリカ発着の旅客機が全て運航を停止し、現在、出入国はほぼ不可能な状況となっている。

2月の欧州やアフリカは概ね平常だった


筆者は先月、欧州から中東経由で、南アフリカへ入国した。今回の旅では、12月中旬に日本を出国して、ガーナ、ルワンダ、ケニア、エジプト、ギリシャ、チュニジアを経て、2月上旬に欧州入りした。

2カ月ほど前に参加したドイツの国際見本市では、新型コロナウイルスの影響で来場者の減少はあったものの、出展者や運営者は「ビジネス・アズ・ユージュアル(業務平常通り)」のスタンスで臨んでいたようだった。アジア人差別も、個人的には経験していない。


2月上旬の欧州では通常通りイベントが開催されていた

2月にはドイツほか欧州各国を移動したが、空港なども特段変わった様子はなく、各国で出会ったビジネスオーナーたちは、まだ状況を楽観視していた。欧州から南アフリカへの経由地であったカタールのドーハ空港では、人種を問わずマスクをしている旅行客が目立ち始めた。

南アフリカへの入国の際は、入国前の滞在先を問われたが、日本からの出国が12月だったため、入国者全員に課された体温検査以外の検査や尋問はなく、何事もなく入国できた。

南アフリカのケープタウンで2月26日から28日まで開催されたデザイン会議「デザイン・インダバ」は、平常通りの運営で約2000名が参加。日本から招待されていた登壇者たちは参加を取りやめていたが、欧米や中国からの登壇者などは参加し、3日間のプログラムが実施された。

「平常通り」から状況が急変する


デザイン会議の2週間後、3月12日から14日には、南アフリカのファッションウィーク「African Fashion International (AFI) Fashion Week Cape Town 2020」が例年通り開催されたが、最終日の午後になって事態が急変した。

初日と2日目までは、昼のパネルディスカッションと、夜のファッションショーが予定通りに進んでいたが、14日の昼過ぎに、急遽、ファッションショーが無観客で行われるという決定がなされた。

プレス関係者に連絡が来たのは、ショー開始の約4時間前。14日の午前中の時点で、南アフリカで24人の感染者が確認され、WHOと南アフリカ保健省のガイドラインに従っての判断であった。


ロックダウンの状況を伝える地元紙
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文・写真=MAKI NAKATA

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