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フリーランスインタビューアー/ライター

大迫傑

東京オリンピック男子マラソン代表、熾烈な代表争いを制して最終枠に内定したのは、大迫傑だった。

大迫といえば、誰もが認める日本のトップアスリート。高校駅伝でも箱根駅伝でも区間賞に輝き、チームを優勝に導いた経験を持つ。大学卒業後は、マラソンレースで日本記録を2度も塗り替え、表彰台に上る以外にも日本選手権10000mでは連覇を達成。現在のマラソン日本記録保持者でもある。その活躍は誰もが知るところで、長距離ランナーとしての成果を挙げればきりがないほどだ。

そして、成果と共に注目されるのが、1年で実業団を離れて渡米し、プロランナーとして活動しているキャリアや、箱根駅伝の運営体制に疑問を投げかけた「箱根駅伝の利益はいずこに」という発言など、前例や常識にとらわれることのない挑戦や発言の数々だ。さらには、オリンピックに出場する現役選手でありながら、自身が創設したマラソン大会の開催を予定している。

「メダルを獲得する」「レースに勝つ」ということを超えて、大迫が見つめる未来とは一体何か。その未来を実現するために、誰も歩んでこなかった道を選択できる強さの源とは一体何なのか。いちアスリートを超えた、大迫傑という存在に迫った。


Gettyimages

日本を離れ自分らしくいられたことで掴んだ、東京オリンピック代表の座


──東京オリンピック代表内定おめでとうございます。東京マラソンではゴール前のガッツポーズやレース後の涙など、印象的なシーンがありましたが、今の率直なお気持ちをお聞かせください。

ホッとしました。オリンピックについて具体的にはまだ考えていないんですが、これでまた動き出せるのかなと。MGC(マラソングランドチャンピオンシップ。2020年東京オリンピック・男子マラソン日本代表選考会)以降、プレッシャーのかかる大会が多かったので、ようやく一区切りできたという気持ちです。

東京マラソンはケニアでのトレーニングを経ての大会だったのですが、これまでとは明確な違いがありました。賞賛も批判も、周囲の声が耳に入らなくなったんです。

自分の頭で考えるよりも先に、たくさんの意見が入ってきてしまう。さらには常に、「次の目標は」と急かされる。これまではそんな時間の連続でしたが、日本を離れて、環境や付き合う人を変えることで、雑念から離れて本来の自分でいられるようになったのかなと思います。

それは何も、マスコミとの関係という一部に限ったことではなくて、選手同士の関係という意味においてもそうです。日本にいると、気づかない間に足の引っ張り合いをしてしまっているようなことも多い。その状況に気づけた上で、その状況から離れたところに身を置くことが必要だったのかなと。

文=伊勢真穂、写真=小田駿一 リタッチ=上住真司

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