ヴィッツの生まれ変わり。新型トヨタ・ヤリスの6速MTに乗ってみた

新型トヨタ・ヤリス


さて、試乗だ。今回、世界ラリー選手権の優勝ヤリスのスピリッツを受け継ぐ市販ヤリスのハードウェアと走行性能には、かなり力が入った感じだ。

僕が乗った1.5Lの6速MTは、120psと145Nmのトルクを発生する。そんなにパワフルには聞こえないかもしれないけど、車重は1000kgほどと軽いのだから、120psでも、加速性はギリギリ充分と言える。タコメーターのレッドラインは6500回転だけど、1500からはトルクがじわじわと出てくる。

4000回転から力が増しながら、エンジンサウンドもかなりスポーティに変わる。特に、5000〜6500の間は、2.0L並のエンジンサウンドに聞こえるので、ワクワク感さえ感じられる。

また、カッチりとシフトできる6速MTとの相性がいい。左手に持ったギアレバーの感触もいいし、ショートストロークのシフトフィールもなかなかなもの。あまりにも、シフトフィールが良かったので、気づかないうちにシフトレバーをいじっていた。6速MTがどんどん世の中から消えつつあるけど、このヤリス6速MTからは、トヨタは運転好きを忘れていないことに対して幸せを感じた。



欲を言えば、ここまでクルマの性格と素質を変えるなら、この1.5Lには小さくてもいいから、ターボがついたら嬉しかった。このヤリスのフラッグシップモデルとして、272psを叩き出す1.6LターボのGRヤリスも追加されるが、この1.5LのエントリーモデルとGRヤリスの間を埋める1.5Lターボがあってもいいんじゃないかな。

足回りもスポーティ、コスパ満足度も高い


足回りは期待していた以上にしっかり感があってスポーティだった。シャシー剛性も高く、サスペンションも完全に改善されているので、ボディロールはかなり抑えられているし、アンダーステアが出にくい。ステアリングの重さや手応えはこの手の小型車にぴったりで、凸凹の路面を走る時の乗り心地は優れている。ただ、キャビンに入るロードノイズは少し大きい。

高速道路でヤリスの運転支援システムを試してみた。簡単に操作できるACC(アダプティブクルーズコントロール)は使いやすいし、車線のど真ん中を走行するレーンキープ機能もよくできている。当然、ペダル踏み間違い時「急アクセル時加速抑制機能」や、車庫時にバックする時に周りの歩行者などを知らせてくれる標準装備としてトヨタ・セーフティ・センスも付いている。



ボディや車体、パワートレーン、サスペンション、名前まで全て変わった新型ヤリスは非常に完成度高く、走りはクラストップだと思う。僕はコンパクトな室内とタコメーターの数字が気になるが、187万円というプライスは優秀だろう。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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