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チャーミングケアで広げる家族の視点

Photographee.eu/Shutterstock.com

わが子が「小児がんサバイバー(小児がん経験者)」になって、もう少しで2年が経とうとしている。

病気が発覚した当時、小学2年生だった彼も、この4月から6年生になる。この学年にもなってくると、当時のことを振り返って、自分の意見を口にする機会も多くなってきた。

私が、「スペシャルキッズ」と言われる、病気や障害のある子どもたちへの外見上のケア(アピアランスケア)やメンタルケア、そして家族のための総合的なケアを、「チャーミングケア」と名付けたサイトで発信していることとも、多少は関係しているのだろう。

まだ小学生なのだが、彼の言葉は小児がんの経験者ならではのものなので、ハッとさせられることが時折ある。

特に強く心に響いたのは、病中の外見上の変化についてだ。抗がん剤治療を受けると、髪の毛がすべて抜け落ちてしまう。それはよく知られているがん治療の課題だと思うのだが、同時にステロイド剤も長期間使用するので、顔がパンパンに浮腫み、お腹もぷっくりと膨れてくる。爪の根元に黒ずみも現れるのだ。

小児がんサバイバーの保護者と看護師の声


そういった子どもの外見上の変化のケアについて、私が運営しているチャーミングケアで、過去にオンライン座談会を行ったことがある。

座談会では、小児がんサバイバーの子どもを持つ保護者と子どもたちを担当した看護師などが、それぞれの体験を話しあった。そこでは、小児がんサバイバーの子どもを持つ保護者から以下のような声が上がった

・子どもなので外見上やメンタル面での困りごとを言葉でうまく伝えられない。そういう部分を汲んでサポートするのが親の役目だった

・治療上で安全と衛生を優先しないといけないと言われてしまうと、外見ケアをしてやりたくてもやりにくかった

・薬の影響で外見上の変化が起こり、それを自分の好きな子に指摘されて傷ついていた

・治療時は子どもも保護者も治療でいっぱいいっぱいで、アピアランスケアにまで気が回らない

・病院では同じような外見の子がたくさんいるから、見た目の問題に慣れていたけれど、日常生活に戻るとそうではなかった

・「命が助かったんだからよかったじゃないですか」と言われると、それ以上のケアを諦めてしまっている部分がある

・アピアランスケア専門でやってくれる先生がいればありがたい

・アピアランスケアが必要な場合も必要がない場合もあるが、現状はそれ以外の選択肢がない。もっと選択肢が欲しい

一方、看護師からは、以下のような意見が出た。

・看護師としては、例えば、髪が抜けている子に外見ケアについて声をかけづらいというのが現実

・気にしているのがわかるからこそ、本人も話したくないのではないか、そこに触れてはいけないのではないかという気がする

・子どものアピアランスケアに関しては、そもそもの知識自体が不足している

・子どもだからだと、あまり重要視していないスタッフが多いのが現実だ

・ケアの方法を提案しても、経済的な負担が保護者にかかってしまうので、その部分もネックになる

アピアランスケアが広がる背景


これらのオンライン座談会での話を踏まえて、成人分野で外見上のケアである「アピアランスケア」を推進している東大病院乳腺・内分泌外科の分田貴子先生に話を聞いた。分田先生は、2009年にがん治療における外見上のケアの重要性に気づき、カバーメイクを推奨。精力的に活動を行っている。

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東大病院乳腺・内分泌外科 分田貴子先生

文・写真=石嶋瑞穂

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