24時間体制で保護者が疲弊する子供の入院付き添い 家族の食事も大きな課題

Sasi Ponchaisang / Getty Imges

わたしには3人の息子がいる。その長男が、2016年に急性リンパ性小児白血病に罹患した。そして約1年間、わたしは息子の入院付き添いを経験した。

急性リンパ性小児白血病は、月齢や型によって治療法は異なるのだが、長男の場合は抗がん剤を投与して、退院期間(休薬期間)なども挟みながら、トータルで約1年間治療を行なった。

子どもが入院すると、病院によっては家族が24時間体制で付き添いをするよう要請される。子どものベッドの脇に設置した簡易ベッドで寝起きしながら24時間付き添いをしなければならない。私も、約1年間にわたって長男のベットの傍で寝食を共にする生活を送った。

その中で経験した様々な思いが形となって、息子の病気療養中に病院発信で「マミーズアワーズプロジェクト」という活動を始めた。
最初に発信し始めたのは、抗がん剤投与のために治療上必要だったCVカテーテルという医療機器をを収納するグッズに関してだった。

通常の点滴であれば、いわゆる末梢神経(腕や手首など)の血管から点滴をする場合が多いのだが、子どもの場合血管が細くてルートが取りづらくなる傾向がある。そこで首と鎖骨の間付近にある中心静脈という太い血管に向かって体内にCVカテーテルを留置し、その先端を体外に出し点滴と繋いで治療を進めることが多い。

しかし子どもは、体外に出たルートが気になって引っ張ってしまったり、プラグ部分を破損させてしまったりするリスクがあるため、そのルートを収納しておくためのケースを手作りするように病院から指示を受けたのだ。


小児がん患者をケアするグッズが市販されていない

小児白血病を含めた小児がんの年間発症数は、2000〜2500人と言われている。2人に1人ががんになる可能性があると言われる時代、100万人はいるがん患者の全体数から考えると、小児がん患者の数は極めて少数だ。

そのため、小児がん患者をケアするためのグッズも市販化されておらず、保護者が手作りするしかないのが現実だ。

小児がん患者向けのグッズをどうにか市販化されないものか? メーカーなどに問い合わせしたが思うような返答は得られず、試行錯誤の末、結局自分でECサイトを立ち上げ、CVカテーテルケースのキットを販売するようになった。

そのショップは現在、小児がんなど長期療養が必要な子ども向けのお見舞い品を扱うECショップとして運営し続けている。
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文=石嶋瑞穂

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