3. 「どこでもアートきっず」で子どもの新・美術体験
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、3月2日から春休みまで全国の小中高校、特別支援学校の臨時休校が要請されている。子どもが家にいるため職場に行くことができない、など保護者への負担が大きいことが問題となっている一方で、毎日家にいるだけで、友達に会えない状況は子どもにとってもストレスフルだろう。
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最近オンライン上で絵画教室を受講できるサービスがあるが、「どこでもアートきっず」は、幼児・子どもの美術教育に特化したオンラインサービスだ。
単に作り方を教えるだけでなく、実際に子どもにアート指導を行なっている講師陣が、創造力や好奇心を育むための場として子どもの年齢に合わせたカリキュラムを組んでいる。
必要な教材が自宅に届くほか、“工作ずかん”としてサイトに作品の作り方が写真付きで載っており、作り方の動画も配信される。さらに「Web美術館」に子どもが作った作品を掲載して、作品に込めた思いや作り方をシェアし、コメントをもらうことができる。
オンライン上という学校の枠を超えた空間で、自分の作品を発表し何らかの反応をもらえる、という体験は子どもの美術教育において価値あるものではないだろうか。長い休校期間は、子どもが新たな興味を発見する機会となるかもしれない。
4. #コロナばっかりで気が滅入るから
Twitterでは「#コロナばっかりで気が滅入るから〇〇」といったハッシュタグが盛り上がっている。「#コロナばっかりで気が滅入るから好きな美術品を共有しようぜ」も然りだ。
クロード・モネの睡蓮から歌川広重の浮世絵、中国の茶器、プラモデルを改造したもの、世界のタイル、などなど、古今東西のジャンルを超えた芸術や作品を知ることができるハッシュタグだ。意外なものの完成された美しさと、どんなところにもアートは宿るのだという芸術の幅広さに思わず感心し、興味をもってしまうかもしれない。
さらに自分にとっての大切な美術品はなにか、について考えるきっかけにもなるだろう。災害や疫病の蔓延など、生活する上でマイナスな出来事に直面すると、今まで焦点が当たっていなかった物事について考える契機ともなる。
5. ギャラリートークで作品に浸る
休館により、中止となった展示の内容を動画で配信する美術館もある。
東京国立博物館の「おひなさまと日本の人形」展は、本来2月26日から3月22日までの特集展示として行われる予定だったが、会期開始翌日の27日から博物館全体が臨時休館となり、1日しか展示が行われなかった。
施設再開の目処が立たない中、おひなさまにちなんで3月3日桃の節句の日に、東京博物館は展示の様子をYouTube上にアップ。動画のコメント欄には、「毎年楽しみにしている展示を今年は見れないかと思っていたのでありがたい」などの声が寄せられている。実際に博物館に足を運べない人にも、さらには海外の人の目にも触れる機会が与えられ、展示の可能性が広がる。
さらに東京都写真美術館でも臨時休館により中止となった「日本初期写真史 関東編」と「写真とファッション」の2つの展示のYoutube配信を行なっている。展示内のテーマごとに複数の動画に分けて配信されており、1つの動画は約3分ほどと短く、さくさくと見られる。それでいて文字でも情報を見せるなど編集に工夫がされていて、作品にしっかりと向き合える。
動画配信の最大の利点は、展示担当研究員による解説をじっくり聞きながら作品に浸れるところだ。美術館で音声ガイドを借りるか、ギャラリートークに申し込んで作品のより深い楽しみ方を得るのが従来の鑑賞方法だったが、動画であれば好きな時に、巻き戻して同じ説明を聞くこともできる。なんとも贅沢な時間だ。
美術館の休館期間を機に、アートの楽しみ方も変容していくかもしれない。