ビジネスとしてのヴィーガニズム

ビリー・アイリッシュもヴィーガンであることを公言(achel Luna / Getty Images)

2017年6月1日、アメリカのトランプ大統領は、地球温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定から離脱すると発表した。この気候変動(Climatic Variation)に関する政策転換は、全世界に衝撃を与えた。

それから2年余りたち、これに反発するかのように、いまアメリカ国内では気候変動の問題を深刻に受け止め、いろいろな活動が起こっている。民間レベルからハリウッドスターを始めとする著名人まで、それぞれの立場から気候変動について世の中へ発信している。

ヴィーガンと気候変動の意外な関連


私自身、気候変動がどんなに大きな問題なのかと興味を持ち始めたのは、2年ほど前のことだ。ヴィーガンに関する情報を入手していたら、付随して気候変動の問題も入ってきたのだ。

では、ヴィーガンと気候変動の間にどんな関連があるのか。それにはまず、家畜の飼育が与える、次のような地球環境への影響が挙げられる。

1. 2018年の「Science」誌によると、世界全体で家畜の飼育のために使用されている土地の面積は、全体の83%に上るといわれている。2050年までに、世界人口は約100億人に達する見込みで、このすべての人口を養うだけの家畜を飼育できる土地は、その時点では残っていないという。

2. 家畜の飼育で使用される水の使用量は、例えば、牛肉1kgを生産するのに約1300リットルの水が必要と言われている。また、家畜の飼料となるトウモロコシ1kgの生産に必要な水の量は約500リットル。これらから派生する水質汚染が地球環境への問題となる。飼料用作物に含まれる抗生物質、ホルモン剤、肥料などが生活用水に流れ込み、環境破壊につながっていくからだ。

3. 家畜放牧のために森林伐採が実行されることで、温室効果ガスの吸収を助けるはずの森林が破壊され、有毒物質が大気中に膨れ上がり、気候変動の原因となる。

4. 家畜飼育により発生するメタンガス(牛や豚などが消化、代謝する過程で発するもの)や、家畜運搬により発生する二酸化炭素(石油やガソリン車から排出される)は、温室効果ガス排気量の大半を占めると言われ、気候変動をもたらす。

このように、家畜の飼育が、今後、地球環境や気候変動に重大な影響をもたらすとされている。その状況下で、肉や魚だけでなく、卵や乳製品まで口にしないという完全菜食主義のヴィーガンは、環境破壊や気候変動からこの地球を守るという意味で、新たな価値を提供するのではないかと思われる。これがヴィーガンについて情報を集めているうちに、私が行き当たった気候変動との関連だ。

ハリウッドスターたちの積極的活動


私が住むロサンゼルスのニュース番組を見ていると、エンターテインメントのニュースとは別枠で、地球環境や気候変動についての活動を積極的に行っているハリウッドスターたちが紹介されているのを日々耳にし、目にすることが多い。これらの問題に向き合う著名人たちの活動を、いくつか紹介しよう。

ホアキン・フェニックス
主演した映画「ジョーカー」が当たり役となり、2020年の映画批評家協会賞、ゴールデングローブ賞、アカデミー賞すべてにおいて、主演男優賞を受賞したが、本人は完全菜食主義者で、今年の映画賞すべてにおいて、受賞後のディナーでは、ヴィーガンメニューのみが提供されたとのこと。

動物愛護の活動にも積極的に参加、アカデミー賞の授賞式のスピーチでも、地球環境へ意識を向けることの重要性を訴えていた。

レオナルド・ディカブリオ
実は熱心な環境活動家。2016年には、数名の監督とともに、環境破壊に関するドキュメンタリー映画をプロデュース、本人自ら出演もした。当時のオバマ大統領、テスラ創業者のイーロン・マスク、ローマ法王など、環境活動に積極的な著名人とのインタビューも話題となる。

1998年に設立した「レオナルド・ディカプリオ財団」では、絶滅危惧種の保護活動とともに、気候変動の活動にも積極的に取り組んでいる。2015年、世界中の環境保護団体に総額1500万ドルを寄付することを発表した。

文=Mei Kato

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