「グローバル思考」の伸ばし方

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私が20代のころに勤めていたボストン・コンサルティング・グループ(BCG)は、やりがいのある仕事で、社員同士の絆が強い職場でしたが、時に「身の丈以上」のストレッチを求められる、チャレンジングな仕事も数多くありました。

しかしそこで学んだものは多く、当時の同僚はいまあらゆる業界の第一線で活躍しています。当時隣の席だった宇佐美潤祐さんもその一人。彼はBCG後、ファーストリテイリングの人材育成機関の担当役員、アクセンチュアの人材・組織変革プラクティスの日本の責任者を歴任。その中で試行錯誤して編み出した手法を、この冬、一冊の本として出版していました。

その著書とは、『リード・ザ・ジブン ユニクロで人事育成の責任者をやってみた。』(東洋経済新報社、2020年)。このタイトルでもある「リード・ザ・ジブン」という自己変革手法とは何なのか。「過去最高の自分を育て、仲間を育て、最強チームをつくる」方法について宇佐美さんに聞きました。

自分で「自分の人生の志」を見つける


宇佐美さんは、BCG組織プラクティスの責任者、ファーストリテイリングの人材育成機関FRMIC(Fast Retailing Management and Innovation Center)の担当役員、アクセンチュアの人材・組織変革プラクティスの日本の責任者を歴任した人物。


宇佐美潤祐さん(2015年、ファーストリテイリング在籍時)

その宇佐美さんが「リード・ザ・ジブン」を練り上げた背景には、2つの問題意識があります。

1つは、日本企業の国際競争力の衰えです。平成元年には、世界時価総額ランキングトップ10社のうち7社が日本企業でしたが、その後30年で、トップ10に日本企業はゼロに。トップ50にトヨタ1社だけが入るだけに衰退しました。

グローバルで戦える企業がどんどん減っているにも関わらず、日本企業には危機感がない。同時に、そんな企業で働く人たちに閉塞感があることを危惧した宇佐美さんは、「40〜50代の社員がもう手遅れと嘆き、ただ枯れていくのを待つ。そんな人たちが働いている企業は元気にならない。それを変えたいと思った」と言います。

とはいえ彼自身も、40歳を過ぎるまで「将来何をやりたいのかという志はもっていなかった」のだそう。ある研修で、「あなたは人生で何を成し遂げたいか?」と質問され回答に詰まってしまい、そこではたと気づいたのだといいます。

「志のないリーダーには誰もついてこない。自分の強い想いに人が共鳴して、それを一緒に実現しようと動いてくれるから、社会を変えるインパクトが生まれる。志がないなんて、自分はいったい何をやっているんだ」

その「頭をガツンとやられたような」衝撃をバネに、宇佐美さんは、自分の中に眠る志をどうやって見つけ出すかを真剣に考え始めました。答えに辿り着くきっかけは、2012年にファーストリテイリングに役員として入社し、柳井社長から「2020年に売上高5兆円を達成し、グローバルトップブランドになるために、社内に200人の経営者人材を育てて欲しい」と命じられたことにあります。

志を持ちリーダーとしてチームを引っ張れる人材が要所に配置された最強の組織をつくる──。それには、リーダー一人ひとりが自ら自分を強くし、成長していかなければならない。「リード・ザ・ジブン」は、そのために考案した、具体的かつ段階的な方程式なのです。

文=秋山ゆかり

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