最高のパフォーマンスは「ムダな力を抜く」ことで発揮される

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最近、書店に行って目につく健康本といえば、「疲れにくい体づくり」や「脳を休める方法」といった、体を労わるためのタイトルをつけたものです。

私は、実体験上、疲れにくい状態でいるために必要なのは「ムダな力を入れないようにすること」だと考えています。この連載でも、日本の伝統文化に照らして呼吸の大切さを伝えてきましたが、お会いしてきた茶道や華道、能や和楽器演奏などを究める奏者の方々は、全身の力がほどよく抜け、力みを感じない、つまり、疲れにくい体を保持している人たちばかりでした。

働き方改革による業務効率化や、24時間対応を可能にしたIT化、成功報酬制の導入など、企業活動の合理化が進む現代社会において、ムダな力を入れずリラックスすることは難しくなってきたように感じています。

とくに緊張する場面や急いだり慌てたりするとき、あるいは恐怖を感じた後などは、どっと疲れを感じるものです。これらに共通するのは、呼吸が乱れて浅くなった結果、体にムダな力が入りやすくなるということでしょう。

自分のリラックス状態を知ろう


おそらくほとんどの方が、力まない方がよいこと、深い呼吸をしたほうがよいことは承知してはいるものの、どうすればよいのかわからないといった状況ではないでしょうか。

私自身、何かに集中していると、いつのまにか力が入り早口になったり声が大きくなったり、気づいたら発言内容も攻撃的になってしまったりしていることがあります。しかし、何度もそのような失敗を重ねてきたことによって、いくつか有効な対策も見つけました。

まず、大事なのは、お風呂に入るときや眠る前、運動後など、自分がリラックスしている状態とはどんなものであるかを知ることです。自分の力が抜けた状態を知ることで、逆の力の入っている状態がわかり、違和感を察知しやすくなります。そして、違和感を察知したら、リラックスしている状態に戻すために、呼吸を意識してみてください。
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文=平井孝幸

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