紹介したコスメ商品は完売、欠品が続出──「#敦子スメ」はなぜ、多くの女性の共感を集めるのか


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ニューヨークへ旅行する前に、代官山にオープンしたばかりのコスメキッチンでアルバイトとして働き始めた福本だったが、帰国後に新たなチャンスが舞い込んでくる。

「アルバイトとして働き始めたばかりだったのですが、初代バイヤーの人が『オーガニックコスメ専門店としてもっとお店を本格的に展開していきたいから、社員になって販売員として手伝ってくれないか?』と誘ってくれたんです。

当時、日本で買えるオーガニックコスメはまだ数えるほどしかなかったのですが、ただオーガニックコスメは今後日本でも盛り上がってくるだろうから、すごく良いチャンスをいただけたと思います」

販売員としてのキャリアを積んだ後、福本はPRの領域にも関わり始める。福本曰く、自店だけでなく周りの店ともご近所づきあいをしていたのを見ていた上司から、「福本はコミュニケーション能力が高いからPRもやってみたらいいんじゃないか」と声がかかったという。

PRのキャリアを積んでいく一方で、少しずつ福本自身に仕事の相談や連載の話などが来るようになった。「コスメキッチンの仕事も楽しかったですし、昔から独立したい思いがあるわけではなかった」というが、なぜ独立の道を選んだのか。

「独立することで広がる可能性も感じる一方で、不安を感じていたのも事実です。ただ周りからは『そろそろ独立した方がいいんじゃない?』と言われることも増えていたので、思い切って独立することにしました。当時はフリーが合わなければ、また会社員に戻ればいい。それくらいの気持ちで独立の道を選びました」

画一的な情報が多いからこそ、枠から外れたものを


フリーのPRとして働きながら、美容コラムニストとしてさまざまな媒体で美容に関する情報を発信している福本。彼女はインスタグラムで「#敦子スメ」のハッシュタグをつけて投稿する美容情報を、数多くの女性が参考にしている。

世間一般では「インフルエンサー」というカテゴリーに属するのだろうが、福本はインフルエンサーだと思ったことは一度もない、という。

「私は自分が好きなことをやっているだけなので、インフルエンサーだと自覚したこともないですし、インフルエンサーと言われても『そうなのかな?』くらいにしか思っていません。『#敦子スメ』も計画的にやったわけではなく、自分が好きなことを続けていたら、いつの間にか私の美容情報を参考にしてくれる人が増えていたんです」
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文=新國翔大 写真=小田駿一

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