実際にインスタグラムを立ち上げ、検索窓に#敦子スメを入力すると、数多くのオーガニックコスメに関する投稿が並ぶ。これらの投稿は個性ある視点と、独自の切り口でオーガニックコスメが詳細に紹介されており、この投稿を見て購買の意思決定をする女性も多い。これまでに#敦子スメの投稿から、完売や品切れになる商品が多数発生しているという。
このハッシュタグを生み出したのが、福本敦子だ。彼女はコスメキッチンに14年間勤務した後、2018年よりフリーランスとして活動を開始。現在はフリーランスのPRとして働く傍ら、美容コラムニストとして人生をよくするための独自の美容論を発信している。
インスタグラムのフォロワー数は5.1万人(2020年2月時点)と、他のインフルエンサーと比べても決して大きい数字と言えるわけではない。そうした中、なぜ福本の投稿は女性たちの心をインフルエンスし続けるのか。彼女のキャリアを紐解きつつ、影響力の秘密に迫る。
偶然が導いた、いまのキャリア
現在、フリーランスのPRと美容コラムニストとして活躍する福本だが、このキャリアに至るまでの道のりは"偶然の連続”だった。本人も「お導き系のキャリア」と言うように、そのとき、そのときで興味関心を持ったものを選択した結果が、今につながる。
「もともと美容学校に通っていて、美容師の免許も持っていたので専門学校を卒業後は美容師として働き始めました。ただ、どこか自分に合わない感じもしていて……。ひとつの場所に留まって働き続けるのが苦手みたいで。数カ月で辞めることにしたんです」
その後、福本は旅行でニューヨークへ。そこで当時、日本ではまだ馴染みのなかったオーガニックコスメとの出会いを果たす。
「ニューヨークの街を散歩していたら、たまたま『WHOLE BODY』というホールフーズのコスメショップを見つけて、気になって入ってみたんです。そこで初めてオーガニックコスメを知り、オーガニックコスメに囲まれる体験をしたら、すごく気分が良かったんですよね。当時、オーガニックコスメのことはあまり知らなかったのですが、直感的に『私はオーガニックコスメが好き』だと思えたんです」