iRobot、30年の技術を結集した新デザイン採用ロボット掃除機「s9+」を日本発表

「s9+」を紹介する、アイロボット・コーポレイション CEO/創設者 コリン・アングル氏



コーナーブラシをD型シェイプの角の部分に配置、アームは5本に増えた

創業30周年を飾るマイルストーンともいえる製品


ルンバは2002年の発売以来、ロボット掃除機のパイオニア的存在。2016年に祖業といえる軍事ロボット事業を売却して以来、家庭用ロボットに専念してきたiRobotにとって、ルンバ s9+は創業30周年を飾るマイルストーンともいえる製品だ。

「2002年のシリーズ誕生以来最大の吸引力と最大の清掃能力を実現した」(アングル氏)というだけあって、清掃能力は大幅に向上。発表会終了後に披露されあ壁ぎわのゴミを残さず吸引するデモンストレーションからしても、PerfectEdgeテクノロジー採用の効果の大きさを実感できた。D型シェイプの角の部分にコーナーブラシを配置することで、短いブラシでも隅まで届くようになり、さらにアームの数を5本(前モデルのルンバ i7は3本)に増やして掻き出す力を増す、という設計の妙もうかがえる。


ルンバ s9+(左)とルンバ i7(右)

ルンバ s9+は、米国では2019年5月、欧州では8月に発売済。ただし、クリーンベースが付属しない「s9」の設定があるなどパッケージに違いがあり、日本向けには第2世代のナビゲーションソフトを搭載しているという。質疑応答で日本での発売遅延について問われると、「地域の戦略と関係している。初期の問題をできるだけ洗い出すため、日本での発売は敢えて遅らせた」(アングル氏)というから、品質要求の高い日本を意識したマーケティング上の理由と考えられる。

スマートプラットフォームへの展開を目指す


ここ数年、中国製など安価なモデルが続々登場しているロボット掃除機市場だが、iRobotは2019年上半期のマーケットシェアが74.7%と、前年同期比の67.4%に比べ10ポイントアップ。アイロボットジャパンの2019年度実績値も、売上金額が前年比プラス20%と過去最高を達成している。直近のiRobot製品全国世帯普及率は6.3%に伸長、「2023年までに10%を目指す」(挽野氏)と意気軒昂だ。


アイロボットジャパン合同会社 代表執行役員社長 挽野 元

ソフトウェアとクラウドの活用にも意欲を見せる。「累計販売台数3000万台のうち900万台がネットに接続されている」(挽野氏)といい、間取り情報など他社が持たないデータをクラウドに持つiRobotの強みは、スマートホーム分野で発揮されうるというのだ。他社IoT製品との連携も視野に入れているとのことで、今後はルンバをハブとしたスマートハウスプラットフォームの展開が、iRobotの目指すところになるかもしれない。

取材・執筆=海上忍 写真=君嶋 寛慶

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