NASAが民間から「宇宙飛行士を募集」、給与は最大12万ドル

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NASAは2月11日、月面探査活動の実施に向けて、新たに宇宙飛行士を募集するとアナウンスした。NASAは有人探査ミッションの「アルテミス計画」を発表しており、トランプ政権は2030年代には人類を火星に送り込むことを目指している。

宇宙飛行士に応募可能なのは、米国の市民権を持ち、エンジニアリングもしくは生物科学、物理科学、数学の修士号を取得済みの人物とされている。さらに、2年間のPh.D.プログラムの履修経験を持つ人や、医学博士及び整形外科博士、国家が認定するテストパイロット講座を履修した人物も応募可能という。

さらに最低2年間の社会人経験を持ち、ジェット機の機長として1000時間以上の飛行経験が必要とされている。

応募者はNASAの体力テストに合格し、2年間の基礎トレーニングを受けることを求められる。加えて、軍の水中サバイバル訓練を受けてスクーバダイビングの資格を取得することや、ロボット工学の知識やロシア語の修得が義務づけられる。

公共ラジオNPRによると、NASAはミッションの実現に向けて、月着陸船を建造するために3月までに政府から正式な許諾を得ようとしているという。

NASAの今回の発表に先立ち、イーロン・マスク率いるスペースXは、NASAで有人宇宙探査プログラムの主任を務めたウィリアム・ゲルステンマイヤー(William Gerstenmaier)を招き入れたと宣言していた。

民間から起用される宇宙飛行士の給与は、5万5000ドルから12万ドルの範囲になるとNASAのガイドラインには記載されている。給与は各人の経験や業績を考慮して決められる。軍出身の宇宙飛行士には別の給与体系が用意されている。

NASAは1959年のマーキュリープログラムで、初の7人の宇宙飛行士を採用した。それ以来、200以上のミッションが遂行され、500人近くの宇宙飛行士がNASAで働いた。しかし、1972年に米国が月面の有人探査を実施して以降、月に降り立った人類は存在しない。

2019年9月に、ウィリアム・ゲルステンマイヤーに代わりNASAの有人宇宙探査プログラム主任に就任したDoug Loverroは、「2024年に月面の有人探査を実現させることに自信を持っている」と発言した。

2月6日には、女性宇宙飛行士として史上最長の328日間の宇宙滞在を終えたクリスティーナ・コックが、地球に帰還した。NASAは2024年のミッションで、初めて女性宇宙飛行士を月に送り込む計画だ。

編集=上田裕資

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