南カリフォルニア大学(USC)のヴァルター・ロンゴ教授率いる研究チームの論文によれば、断食によって免疫細胞が再生されることで心血管の状態が改善され、持久力が向上するほか、血圧の低下や炎症の改善といった利点がもたらされると考えられている。
「断食は白血球の数を減らし、その結果として免疫系は、自らを構成する主要な細胞である白血球(リンパ球)の産生を加速させる」というのだ。ただし、ロンゴ教授らによれば、これらの利点を得るためには、残念ながら数日間にわたって断食しなくてはならない。
健康効果を得ることにつながるのは、エネルギー源としてのグルコースを枯渇させることだとされている。だが、それには少なくとも24時間(おそらく48時間かそれ以上)が必要とみられるためだ。3日間の断食について、健康効果が得られること以外の良い知らせといえば、年に1~2回実践すれば十分とされていることだろう。
新たな研究結果
一方、米国立衛生研究所(NIH)のラファエル・デ・カボ博士とジョンズ・ホプキンス大学医学部神経科学科のマーク・マットソン博士が2019年末に米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表したレビュー論文によれば、実はこうした健康効果を得るために、それほど長い時間にわたって断食する必要はないという。
ロンゴ教授のチームより後に行われた研究の結果を見直したところ、3日間の断食よりはるかに簡単な方法でも、ほぼ同じ効果が得られるというのだ。「断続的断食」と呼ばれるその方法には、次の2つがある。
・時間制限法:午後12時に昼食を取り、夕食は午後8時までに取る。その後、翌日の午後12時までなにも食べずに過ごす(16時間断食する)。毎日このパターンで食事をする。
・5:2断食:1週間のうちに2日間、1日当たりの摂取量を500~700キロカロリー以下に制限する。その他の5日間は、普通に食事をする。