1日50分の練習だけでプロ野球選手に。進学校が取り組むデータスポーツ革命

SAJ2020でプレゼンする岡田武史代表


データを分析できる指導者が必要


同席した岡田代表は「チーム運営としてはファンが試合に来てもらうことは必須。そのためには、スタジアムを90分間の試合だけではなく1日遊べるような仕組みにしていく必要がある」とし、今後も今治のフットボールパーク化を目指し、地域内外から人を集めていく方針であると説明した。

さらに岡田代表は「これまでチケットを販売する時にプロモーションするのが当たり前だと思っていたが、このデータを見ても試合があることを知った時のほうが推奨度は高い。それならば、試合発表と同時にチケット販売をするなど、より良いプロモーションの仕方があるだろう。それまで自分たちがやってきたことと食い違っていることがわかりショックだった」と話した。

観戦体験のフローをデータで可視化することで、新しいビジネス領域も生まれてくる。実際、FC今治ではスタジアム中心のフードエリアのベンチにスポンサーをつけるなど、店舗販売だけでなく、広告メディアとしてスタジアム全体の利活用が進む。これこそ、カスタマーエクスペリエンス(CX)のお手本ともいえるものだ。

ただし、肝心なのは、岡田代表のようにそのデータから何を読み解き、何をビジネスやマネジメントに活かすかだ。データがいくらあっても、その使いこなす力が受け手になければ意味がない。

今回のスポーツ観戦におけるCX調査のような取り組みは、今後ますます増えてくるだろう。サイバー空間とフィジカルが融合する現代では、データは無限に取得できる。膨大な情報量の先に何を見るのか。未来の舵取りができるのは、デジタルが進んでも、結局は、前出の高島誠氏や岡田武史氏のような鋭い分析力を持った人間の力によるのだ。

文=中村祐介 写真=坂脇卓也

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