1日50分の練習だけでプロ野球選手に。進学校が取り組むデータスポーツ革命

SAJ2020でプレゼンする岡田武史代表

データを徹底的に分析することで、スポーツの在り方は変わってくる。この現在の状況を、如実に明らかにしたのが、2020年2月1日に東京で開催された「スポーツアナリティクスジャパン2020」(以下SAJ2020)だ。

北島康介氏や松田丈志氏など有名アスリートも参加した数あるSAJ2020のセッションのなかで、スポーツの未来を占うものでとくに気になったものが2つあった。その1つは、広島県東広島市で野球専門のトレーニングジムを主宰する高島誠氏(Mac’s Trainer Room代表)の話だ。

高島氏は、スポーツ推薦のない進学校である広島の私立武田高校から、昨年の10月プロ野球ドラフト会議でオリックスに育成ドラフト2位指名された谷岡楓太選手のトレーナーだ。

武田高校は進学校だ。そのため野球部の平日練習時間は1日あたり50分しかとれない。そんななかで、なぜプロの野球選手を育てることができたのか。

「彼らは、僕たちの若いころと違ってがむしゃらに練習をする時間がない。だからこそ、短時間の練習で成果を出すために、徹底的に効率化するしかなかった」

高島氏は、自らのジムで指導して、4年連続で球速140キロオーバーの選手を6名も生み出した。また、高校から野球を始めた選手でも、入学時86キロだった球速が118キロにまで伸びたという。

ポイントは、適切な柔軟性やトレーニング、身体づくり、球数管理、そしてデータ管理にある。とくにデータ管理は徹底しており、選手の体重や体脂肪などの基本データのほか、走る速度、スクワットや逆立ちなどトレーニングのデータをすべて記録する。

「日々のデータを見ていくことで、変化を発見できる。なぜ悪いデータなのか? 調べてみると、試験前のストレスだったりする。こうしたことを見過ごさず、選手が最高のパフォーマンスを出せるようにすることが、指導者側の仕事だ」と高島氏は話す。

選手の成績が上がらないのは、指導者側の問題と断定する高島氏。結果は良くとも悪くとも、そこに「なぜ?」が生まれる。この「なぜ?」を突き詰め、選手それぞれの個性に対して、どのようなトレーニングが必要なのかを見いだしていく手法で、多くの優秀な野球選手を送り出すことができたという。

サッカー観戦の楽しみは「試合」だけではない


データによって常識が変わるのは、スポーツ選手だけではない。チーム運営そのものにも変化が生まれる。SAJ2020のセッションでもう1つ気になったのは、愛媛県今治市をホームタウンとするFC今治のものだ。
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文=中村祐介 写真=坂脇卓也

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