その原因はアマゾン(Amazon.com)と言える。
フェデックスの株主にとっては、悪い知らせが3つ重なった。純利益と売上高は下がり、業績見通しも下方修正されたのだ。アマゾンは、勝ち目のない戦いへとフェデックスを追い込んでいる。少なくとも、現在の状況を見ればフェデックスに勝算はない。
これは、競合しあう企業がしばしば、身をもって学ぶ苦い教訓だ。
フェデックスに荷物の配送を依頼するときはこれまで、割高な料金を支払わなくてはならなかった。テネシー州に本拠を置く同社が貨物輸送の代表的企業となったのは、世界のどこへでも、荷物を確実に届けてくれるからだ。
フェデックスを利用する顧客企業は配送料の高さに不満を抱いてきたかもしれないが、そうした企業を利用する客たちは満足していた。
そこに登場したのがアマゾンだ。
世界最大の貨物輸送企業フェデックスにとって、eコマースの台頭は神の恵みのはずだった。同社の経営陣は、ビジネス用インフラや最先端技術に対する投資を急ぎ、爆発的な成長に備えた。
2018年6月には、設備投資を8.5%増加すると発表。経営陣は、テネシー州メンフィスと、インディアナ州インディアナポリスにある拠点のシステムと処理能力を増強すると述べた。また、貨物量の増加に対処できるよう、ボーイング767貨物機を12機、新規発注した。
米商務省のデータによると、eコマースのアメリカ国内全売上に占める割合は、2017年は約5.1%だったが、2018年には14.3%と、驚異的な成長を見せた。2018年のオンライン売上額は5180億ドルで、前年比15%増となっている。
こうした成長に大きく貢献したのがアマゾンだ。そしてフェデックスは、商品配送の頼れるパートナーだった。
しかしその後、関係は崩壊した。
アマゾンの株価は2019年に19.2%上昇したが、一方のフェデックスは8.7%下落した。
アマゾンは顧客ロイヤルティを高めるべく、配送にかかる時間を短縮すると同時に、配送費を削減しようと考えた。そのためには何らかの手を打たなくてはならない。