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2020.01.25 08:00

長寿をリスクにしてはならない 私たちはどう「老いる」べきか?

Westend61 / Getty Images

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昔から数多の権力者が、「不老長寿」を夢見てきた。高齢化が進む現在も、いつまでも若々しくありたいと願う人は多く、街にはアンチエイジング関連の商品があふれている。

毎日、テレビや新聞を見ていても、アンチエイジングに関する広告がとても多い。肩や膝の関節の痛みの緩和、育毛や養毛の促進、認知症の予防、肌の衰え防止、頻尿や尿漏れ対策など、多くの広告が加齢に伴う諸症状に対処する商品のものだ。若いころには気にも留めなかった尿漏れ防止パッドや下着の広告もある。

海外旅行に行くとき、高齢者の多くは飛行機の通路側の席を希望する。長い時間のフライトでもほかの乗客に遠慮せず、いつでもトイレに行けるからだ。

誰しも加齢により、あちこちの関節が痛む、髪の毛が薄くなる、記憶力や判断力が鈍る、シミが増える、トイレが近くなるという現象が起こる。そのため超高齢社会の進展とともに、医薬品や健康食品、サプリメントなどのアンチエイジング市場が拡大している。

「長寿」が、喜びからリスクと思われる時代になった。膨大な広告宣伝費を費やしてもアンチエイジングビジネスが成立する背景には、必要以上に「老い」を恐れる人々の強迫観念があるのだろうか。それが長寿社会のアンチエイジング市場の過剰消費を生んでいるのかもしれない。

「老い」にやさしいフレンドリーエイジング

「不老長寿」は、人間が長い間抱いてきた見果てぬ夢だが、加齢にどうあらがっても「老化」は防ぐことはできない。心身ともに「若さ」は重要だが、それを過大評価すると、高齢期を豊かに生きることを阻害する。

人は加齢とともに「できること」が減少するため、「老い」を受容することは自尊心との闘いかもしれない。高齢社会では衰える自分と向き合い、「老化」と上手に付き合いながら、フレイル(加齢により心身が老い衰えた状態)という虚弱な状況のプロセスを自然体で受け容れることが必要だ。

身体的老化を防ぐことが困難でも、精神的な若さを保つことは可能だ。何事にも興味を持ち、新たなことにチャレンジする気持ちや、瑞々しい感受性が豊かな人生を創り出す。人生はどれだけ長く生きるかではなく、どのように生きるかが重要なのだ。

とはいえ、健康寿命を延ばすこともきわめて重要であり、スポーツジムも高齢者であふれている。虚弱になったからといって人生は終わりではない。長い人生をまっとうするには、加齢にあらがうアンチエイジングではなく、「老い」にやさしいフレンドリーエイジングが求められている。
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文=土堤内昭雄

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