経済・社会

2020.01.13 08:30

大気汚染による二酸化炭素濃度上昇 人間の思考力に影響の可能性

Photo by Jens Schlueter/Getty Images

環境汚染により、人がより愚かになることがあるだろうか?

私たちが愚かにも環境汚染に対して今より緊急の対策を取らず、環境汚染によって私たちがより愚かになるのであれば、自分たちがどれほど愚かであるかさえ理解できない日が来るだろうか?

これはゴキブリや、最終的に地球を乗っ取り人間を奴隷化するであろう宇宙人には朗報だ。査読前の論文を掲載するアースアーカイブ(EarthArXiv)に先月掲載された新たな論文では、大気中の二酸化炭素濃度が上昇することで、私たちの認知力、つまり思考力が損なわれる可能性が示唆されたからだ。

米CBSテレビは、大気中の二酸化炭素濃度が昨年最高記録に達したと報じ、過去100年の間の二酸化炭素濃度の上昇レベルは以前と比べてはるかに急速なものだと指摘している。これは、化石燃料の使用など人間の活動が二酸化炭素の濃度上昇に寄与しているとの考えと一致するものだ。

先述の論文では、コロラド大学のクリストファー・カーナスカスとシェリー・ミラー、ペンシルベニア大学のアンナ・シャピロが二酸化炭素の濃度と思考力の関係性を示す調査を複数活用し、現在の化石燃料汚染の動きを基に、今後の変化を示す予測モデルを作成した。

研究者らは、二酸化炭素の濃度が上昇した場合の変化を明らかにした調査を利用。その結果、学校では生徒の注意力や警戒、記憶力が衰え、仕事の場面では意思決定や戦略・危機対応能力が下がった。念のため言っておくと、これは良いことではない。

こうした発見は関連性を示すものであり、必ずしも因果関係を裏付けるものではないが、二酸化炭素の濃度の高さが思考力に影響を与えることは科学的に説明できる。

肺胞は、人が吸い込む空気中の酸素を血中の二酸化炭素と交換している。吸い込む空気の中の二酸化炭素が増えて酸素が減れば、血中に流入する酸素の量は同じにならない。酸素は、脳を含む細胞の機能を助ける働きがある。脳の細胞が同じ濃度の酸素を受け取らなければ、細胞は同じように機能しないかもしれないし、さらには死ぬことになるかもしれない。これらは全て、認知機能に影響を与え得る。
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翻訳・編集=出田静

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