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運動は、かつて効果があると思われていた分野とは少し異なる分野で効果を発揮することが証明されている。

かつて期待されていたような減量の特効薬にはならないかもしれないが、運動には脳に新たなニューロンの生成を促したり深刻で慢性的な健康問題のリスクを減らしたりと、他に素晴らしい効果があるようだ。

複数の調査では近年、運動量が(適正範囲内で)増えるほど、複数のがんを発症するリスクが減ることが示されてきた。医学誌の臨床腫瘍学ジャーナル(Journal of Clinical Oncology)に先日掲載された新調査では、実はそれほど多くの運動は必要ないことが示唆された。推奨されている量の身体的活動を毎週行うだけで、7つの種類のがんのリスクが減少したことが示されたのだ。

研究の著者のアルパ・パテルは発表で「身体的活動の指針は主に、心臓血管疾患や糖尿病などの慢性疾患に対する影響を基にしてきた」と述べ、「こうしたデータからは、がんを予防する上でもこのような推奨水準が重要だということが強く裏付けられている」と続けた。

米国立がん研究所(NCI)やカロリンスカ研究所、ハーバード大学T・H・チャン公衆衛生大学院など世界中の組織から集まった研究者らは、10年以上かけて約75万人の参加者のデータを分析した。調査の参加者は全員、余暇の時間に行った身体活動の量など、複数の項目を報告している。研究者らはこれらを、参加者が長年の間にがんを発症するリスクと相互に関連させた。

米保健福祉省(HHS)が作成した「米国人の身体的活動に関する指針(Physical Activity Guidelines for Americans)」の第2版によると、現在の推奨運動量は、早歩きなどの中強度の運動を週に2時間半~5時間行うか、激しい運動を週に1時間15分~2時間半行うことだ。どちらも、1週間に7.5~15メッツ(MET)・時に相当する。(メッツ・時は、安静に座っている状態での1分間の酸素摂取量を1メッツとし、その7.5~15時間分の運動レベルを指すもの)

チームは、この範囲内に入っていた人の間で7つの種類のがんにかかるリスクが低いことを発見した。男性の間(女性には当てはまらない)では結腸がんのリスクが下がり、1週間に7.5メッツ・時の運動をしていた人は8%、15メッツ・時の運動をしていた人は14%下がった。また女性の場合は乳がんのリスクが6~10%減り、子宮内膜がんのリスクは10~18%減少、非ホジキンリンパ腫は11~18%減少した。

また、どちらの性でも腎臓がんのリスクが11~17%減り、骨髄腫のリスクは14~19%減少、肝臓がんは18~27%減少した。

推奨されている水準よりも多くの運動をしていた人は、結腸がんや乳がん、子宮内膜がん、頭頸部(けいぶ)がんなど特定の種類のがんでさらにリスクが低下し、リスク低下率は運動量によって決まることが示唆された。

翻訳・編集=出田静

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