“何を得るにしても、悟りを得よ。”

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認知症ほど怖ろしい病気はないかもしれない。認知症のなかでも、最も広く見られるタイプがアルツハイマー病だ。アメリカのアルツハイマー病患者は500万人に上るが、高齢者人口が増え続けるのに伴い、その数は2倍以上になると見られている。

アルツハイマー病の治療費はぞっとするような額になる。というのも、患者には広範囲にわたる介護が必要で、この病気は患者が亡くなるまで何年も続くからだ。アルツハイマー病の患者では、当惑するような人格変化が見られることも多い。そんなふうに、愛する人が暗闇に沈んでいくのを目にする家族にかかる心理的負担は、おそろしく甚大だ。

認知症に関連する医療費はこの先の数年で急増すると見られており、それだけでアメリカの医療制度を破綻させるおそれがある。この拡大する危機は、きわめて不吉な様相を呈している。

というのも、1900年代はじめにドイツの精神科医アロイス・アルツハイマー(Alois Alzheimer)によって最初の症例が報告されて以来、アルツハイマー病との闘いにはほとんど進展が見られていないからだ。

以下で紹介するきわめて有意義な対話では、アルツハイマー病の専門家として有名なグレゴリー・ペツコ博士とともに、研究者が何十年も「見当違いの努力」を続けてきた経緯と、それほど長きにわたって重点の置きどころがまちがっていた理由が議論されている。だが、心強いニュースもある。研究の焦点を変え、もっと有望な方向へ切り替える医師が増えているのだ。そして、ペツコの先駆的な洞察には注目が集まりつつある。ありがたいことだ。

進展のなさに加えて、この分野にあてられる研究資金の少なさにも驚かされる。幸い、アメリカ政府の膨大な支出をさらに増やすことが答えになるとはペツコは考えていない。たしかに、連邦政府にはもっとするべきことがあるし、実際に意味のある形で支出を増やし始めている。

だが、より速い成功に欠かせないのは、民間の関係者がもっと多くの資金と頭脳をこの分野の研究に注ぎ込むことだ。そして、ペツコがまさに指摘しているとおり、さまざまな道を追求する必要がある。政府主導の取り組みでは、それは不可能だ。

大きな課題が存在している。私たちはペツコの警告に耳を傾け、その洞察を信頼したほうがよいだろう。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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