ビジネス

2019.12.27

メルカリとZOZO、成長企業の裏側──責任者たちが語った、コーポレート部門のリアル

(左)ZOZO 執行役員/経営管理本部 本部長の廣瀬文慎 (右)メルカリ執行役員 VP of Corporateの横田淳


コーポレートにも計測しやすい指標をつくり、評価する

廣瀬:人材の評価についても聞かせてください。弊社は各部署に適した方法で評価ができるよう、全社的な評価の体系はないんです。各上長が良くなったと判断したら、評価を上げてもいいんじゃないか、という……(笑)。フワッとしてしまう部分もあるので、コーポレート部門もどうやって評価すべきか。スペシャリストとマネジメントの評価は難しいと思っていて、メルカリの事例を教えてください。

横田:メルカリではOKRという目標管理のフレームワークを使っています。「目標と成果指標(Objectives and Key Results)」を設定し、グループ全体の目標から、各部署、各チーム、各マネージャ、各メンバーへと落とし込んでいく。これをコーポレート部門でもやっていて、今のところうまく回っています。



コーポレート部門は定量化した目標が設定しづらく、評価しづらいと言われますが、私のOKRは具体的な数値基準が入っていて、今はそれに取り組んでいます。そこに関しては定量的なものをつくって、その内容をどこまでやるか。Accounting/Taxもリーガルもコンプラもそこに紐づいた目標設定と定量化されたアクションプランを決めています。無理やりな部分もありますけど、無理やりでも計測しやすい指標をつくり、マネジメントしていますね。

廣瀬:「数値化しなくても、近くで働きぶりを見ている上司ならわかるでしょう」というフワッとした感じが、前澤時代の良さでもあり、それが彼のポリシーでもあったんです。ただ、今まで人事は前澤の直下でやってましたけど、経営体制が変わり、澤田新社長になったタイミングで、経営層で人事評価も再構築しているところです。どういう評価体系にするか、僕らも変わらないといけないタイミングなので今の話は非常に参考になりました。

コーポレートのメンバーこそ他の部署を経験すべき

横田:人材育成については各社それぞれだと思うんですけど、コーポレートの人材育成は今後、メルカリでも取り組んでいきたく、ZOZOさんの取り組みを教えていただきたいです。

廣瀬:そこに関しては目立ってやれていることがない、というのが正直なところです。ただ、私が事業部門にいた頃から、ひとつの部署に固定化しているメンバーが多くなってきていると感じていたので、ジョブローテーションをしたいとずっと思っていたんです。それを前澤に何度も言ったのですが、ずっと跳ね返され続けて(笑)。

諦め気味だったのですが、新しい経営体制になったので「もう一度やってみよう」と経営陣に提案しているところです。コーポレートのメンバーも他の部署に行って、新しい縦の線をつくってもらい、またコーポレートに戻ってくる。そういった動きをやらなきゃいけないかなと思います。

ZOZOTOWNというサービスを運営する中で、ブランド営業もありますけど、物流やカスタマーサポートのメンバー、システムエンジニアなど、いろんなメンバーが働いている。その先でみんなが何をやっているのかを知らないと、自分の部署のことだけ考えて、周りがどう動くか分からないまま勤続年数だけ長くなってしまう。そのままではダメだと思いますし、各部署で何が行われているか理解した上で、自分が何をすべきか分からないといけないので、それが出来る仕組みづくりを提案しています。

横田:ローテーションで抜擢して、任せる。ある程度の余裕がないとできないですけど、リスクとって任せた方が成長スピードは早いかもしれないですよね。今日は短い時間でしたが、廣瀬さんと話せて勉強になることが多かったです。ありがとうございました。

廣瀬:こちらこそ、ありがとうございました。

文=新國翔大 写真=メルカリ提供

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