ビジネス

2019.12.27

メルカリとZOZO、成長企業の裏側──責任者たちが語った、コーポレート部門のリアル

(左)ZOZO 執行役員/経営管理本部 本部長の廣瀬文慎 (右)メルカリ執行役員 VP of Corporateの横田淳

競争激しいIT業界において、事業領域は異なれど、急成長を遂げてきた2つの会社、ZOZOとメルカリ。両社が成長を続けている背景には、もちろん提供する“サービスの良さ”もあるが、社員が才能を遺憾なく発揮できる職場環境の整備も挙げられる。

両社の成長を裏で支えるコーポレート部門はどのような考えを持っているのか? ZOZOとメルカリのコーポレート部門の責任者が対談したイベント「金融・通信・ネット業界で得た知見は成長企業でどう活かされる? 〜ZOZO・メルカリ編〜」が12月17日、メルカリ東京オフィスでが開催された。

イベントにはZOZO 執行役員/経営管理本部 本部長の廣瀬文慎と、メルカリ執行役員 VP of Corporateの横田淳が登壇。両者がイベントで語った内容をお届けする。



連結子会社でZOZOに起きた変化とは?

横田:まず廣瀬さんにお聞きしたいなと思ったのが、ZOZOのコーポレート組織の変化についてです。ZOZOはZホールディングス(旧ヤフー)の連結子会社となって、何か変化はあったのでしょうか?

廣瀬:今年の11月13日に正式にZホールディングスの連結子会社になったのですが、特にコーポレート組織における変化はないんですよね。基本的にZホールディングスは経営の独立性を持たせてくれていて、僕たちの意思決定に細かい口出しはないです。

今まで通りの部分がほとんどですが、変わった部分を挙げるならば……予算組みのスケジュールです。とてもタイトになりました。ZOZOは今まで3月中旬くらい予算組みを終えて、4月上旬で微調整し、4月末に決算発表を迎えるスケジュールが当たり前だったのですが、今は2月までに予算組みをやってくださいと言われるようになりました。

それに伴って、締めのスピードも変わっています。今は親の親の親の会社までいるので、とにかく早く出してほしい、と(笑)。その辺りの仕組みは改めて組み直さないといけないなと思っています。また、創業者である前澤友作前社長が退任した後の経営体制については、良い意味で変化しています。良くも悪くも前澤はすごくリーダーシップを持った人で、鶴の一声で組織全体を動かしていくタイプ。そんな前澤がいなくなったことで、社員みんなが当事者意識を持ち、自分たちの力でZOZO、そしてZOZOTOWNを成長させていこう、という意識になってきています。それは会社にとって、非常に良い変化でした。

横田:ちなみに自分は前職、AbemaTVの取締役として動画事業の立ち上げに注力していて。そこで藤田晋(サイバーエージェント代表取締役社長)と話したときに、想像以上に普通の感覚を持った人だなと思ったんです。自分が変に意識していただけかもしれないですけど、普通に接してくれる。

この“普通の感覚を持った人”という感覚は山田進太郎(メルカリ代表取締役CEO)にもあって。個人的には同級生という感覚なんです。すごく普通の感覚を持ち合わせていて、コミュニケーションにおいて全くストレスを感じることはありません。ただ、その時々の意思決定で、「この人は大企業のオーナーCEOなんだな」と思わされる瞬間があります。経営における経験値は同年代でもダントツで、異質な経験もされているので、違う世界を見ているのではないかな、と。

普段はほとんど「大社長だ」と思うことはないですけど、重要な意思決定においてはすごいパワーを出さなければいけない瞬間があると思うんです。それこそ、前澤さんも大きな決断を何回もされてきて、あの決断の裏側には他の人が見えていない、前澤さん独自の世界が見えていんじゃないかと思います。その点において、廣瀬さんはどうコミュニケーションをとられていたんですか?
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文=新國翔大 写真=メルカリ提供

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