ビジネス

2019.12.26

次世代の起業家25名のトレンド予測! 2020年、社会はどう変わるか?(後編)


Voicy 緒方憲太郎

・2019年の振り返り
日本においては、「音声メディア元年」とでも言うべき、これから盛り上がりの萌芽がようやく見えだしたのが2019年だったと思います。今年2月に、SpotifyはPodcast企業2社を買収し、Podcast強化の姿勢を鮮明にしました。さらに先日SONYミュージックもポッドキャスト強化のための組織を立ち上げたというニュースがありました。

私もTechCrunchTokyo2019で「音声メディア」というテーマでのパネルディスカッションに登壇させていただき、音声メディアがテーマとして設定されたことそのものに大きな動きを感じました。

さらに、各社が音声関連デバイスを強化していることも印象的な1年でした。スマートスピーカーのバリエーションが増え、Air Pods Proを始めとするワイヤレスイヤホンが一般化してきています。デバイスの伸びとそこで消費されるコンテンツは連動しますから、必ずこれから音声メディアも伸びると思いますし、どこまで伸びるかが楽しみです。

・2020年のトレンド予測
IoTを使ったヘルスケアサービスに注目しています。センシング機能を有するIoT機器の普及により、今まで以上に人間の生活にインターネットが密着してくると考えています。これまでは、スクリーンの前に自分がいて、意識的にインターネットにつないでいる、という世界でしたが、IoT機器が普及すると、より意識しない形でインターネットに接続され、色々なライフスタイルデータやヘルスデータが企業によって取得されるという世界になると思います。

プライバシーの問題など、乗り越えるべき課題はあれど、そうした技術やデータを活用したサービスがたくさん出てくると考えています。技術の進歩がライフスタイルの変化に影響し、その変化に合わせてビジネスモデルが変わる、という一連の流れの中で、どのような新サービスが生まれるか、そしてこれまでのサービスがどのように新しい世界観に対応していくかが見どころだと思っています。

Mr. CHEESECAKE 田村浩二

・2019年の振り返り
変化の年。2018年と2019年は僕個人としても世の中としても大きな変化の年でした。飲食業界でも働き改革の波が起き、有名店も働き方や労働環境を変えました。フリーで働くシェフも昨年までは僕を含めほとんどいませんでしたが、段々と増加。シェアキッチンやデリバリーフードの浸透、フードテックと言われるジャンルが日本でも確立されてきた、とても重要な一年でした。

僕個人としては、レストランを離れMr. CHEESECAKEを会社化して1年が経ち、目まぐるしく環境が変化しました。独りで作っていた時とは違い、スタッフを雇いチームとして仕事をする。今までのレストランのチームとは違い、真っさらな状態からのスタートは手探りで慌ただしく、本当に大変です。

チームが成熟するよりも先にMr. CHEESECAKEが広まっていき、ブランドの成長に僕もスタッフもついて行くのがやっとです。しかしお客様にもスタッフにも支えられながらなんとか一年間走る事ができました。まだまだ個々人の成長が必須ですが、スタッフとともに僕自身も成長できる様にひたむきに頑張ります。

・2020年のトレンド予測
やはりフード領域です。飲食店もシェフも変化を求められるようになり、更なる多様性が生まれると思います。農業や水産業にも変化は起こっていくので、その中で日本における食という重要な資産を今後どう活かしていくのかが大切だと思います。今まで中々介入されなかった技術やテクノロジーがこの業界にどのような変化を与えるのか?そしてそれが日本から世界に向けた新しい発信と取り組みになっていくのか。

コンテンツは十分にあるからこそ、それをどう伝えどう世界に広げていくのか。茶や日本酒は世界に向けて進出が進んでいますが、それ以外の可能性も十分にあると思います。世界のブランドを日本に入れるのではなく、日本から世界に発信するブランドが多く出てくるようにならなければいけないと。料理の技術力が高い日本だからこそ、テクノロジーとの掛け合わせで新しい未来を描けると思っています。

BLAST 石井リナ

・2019年の振り返り
#MeToo、#KuToo、選択的夫婦別姓、就活生へのセクハラ問題など、数多くの課題に対して声をあげる人々が増え、ムーブメントにもなった年だと思います。しかし、日本のジェンダーギャップ指数は過去最低の121位(153カ国中)を記録しました。昨年まで肩を並べていた中国や韓国は、それぞれ106位、108位となり、彼らにも大差をつけられています。

また、ハラスメント対策の指針についても就活生は除外され、#KuTooの主張も盛り込まれないなど、ジェンダーや人権に対するアップデートが日本はかなり牛歩であること、世界はもっと早いスピードで変革していることが露呈したと思います。

個人的には、安倍首相がシュレッダー問題に対して、障害者の職員を理由にしたことや、個人的なことを優先できないなどとして、小泉進次郎氏が育休を否定したことなど、政治家による言葉の暴力を感じる機会が多く、日本に失望したり、とても傷つけられた年でした。

・2020年のトレンド予測
国外、国内問わずですが、フェムテック、ウェルネス、ヘルスケア業界に注目しています。フェミニズムのムーブメントにより、そうした思想を汲み取ったプロダクトやサービスが支持され、経済圏を作っていくこととしては納得の流れだと思います。

続々と立ち上がるブランドのビジネスモデルやブランディングに関心を寄せています。加えて、国内であれば日本におけるD2Cブランドが今後国外にどのように進出していくのか、についても注目しています。
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編集=Forbes JAPAN 編集部

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