ビジネス

2019.12.27

SDGsを「ツールとして使う」 環境立国デンマークの取り組み方

デンマークではオフィスの周辺でもSDGsのPRが多く行われている


11月に帰郷した際、東京の郊外でまちづくりをしている企業とワークショップをする機会を頂いた。私はそこで、このデンマークのセミナーを応用して、SDGsを使ったワークショップをしたいと考えていた。

その企業が所在する地域も、高齢化、住民同士の交流の減少など、ほかの多くの都市と同様の問題を抱えていた。ワークショップの日、私は午前中に現地を歩いて回り、午後からオフィスに戻り、これからのまちづくりについて、担当チームとSDGsを用いてワークショップを行った。



まず最初に、前述したSDGsの「グループ3:変化をもたらすためのゴール」の中からゴールを各人一つ選んでもらい、自分たちの地域にあてはめて考えた場合、どんな解決策があるのかを各自に自由に考えてもらった。

解決策は、実現できるかということよりも、もっとも目指すべきゴールを示してもらった。次にその解決策に対して、自分たちがどれくらい取り込めているのか、それぞれが自己採点し、ホワイトボードに解決策と採点を書き出していった。

こうして、SDGsという今まで使ったことのない視点でプロジェクト全体が整理され、ビジョンが共有されていった。

このワークショップで大事なのは、自己採点の結果ではなく、チーム内の問題の理解が深まったことにあると思う。SDGsを使うことによって、複雑に入り込んだ、この地域独自の問題の解決策がどこにあるのか、明確にチームの中で共有しあえた。

同時に、自己採点によって、問題解決の優先順位がつけられた。自分のプロジェクトに当てはめて考えることによって、再確認と新たなアイデアの種を見つけられたのかもしれない。SDGsを使うことにより、ワークショップで何か壮大な結果を残せたわけではないが、プロジェクトの最初に欠かせないビジョンの共有という小さな一歩は踏み出すことができた。

世の中は、SDGsの啓蒙活動であふれている。ピンバッジやマグカップなどのグッズもあるし、ソーシャルメディアでは目にしない日がないほど、情報にあふれている。しかし、見てるだけ、聞いてるだけでは変わらない気がする。

一歩踏み出して、SDGsをアクティブに使ってみる、少しでも実践することによって、SDGsのまた新たな可能性が見えてくるのではないかと思う。

文=蒔田智則

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