ビジネス

2019.12.27 08:00

SDGsを「ツールとして使う」 環境立国デンマークの取り組み方


デンマークでも大手の建築コンサルタントに、ソーン イエンセン(Søren Jensen Rådgivning ingeniørfirma)という企業がある。ヨーロッパでは、建設業が全ての二酸化炭素の排出量の約3分の1を占めているといわれており、その責任は大きい。

セミナーでは、同社オーナーであるフランク・イエンセンが登壇し、サステナビリティにおけるビジョンとそのイノベーティブな解決方法の重要さを説いていた。イノベーティブなアイデアの基盤は、自分たちの取り組んできたプロジェクトの「再確認」であり、SDGsを用いて、そのアプローチが正しいのか常に検証していくのだと話していた。


ソーン イエンセン オーナーによるプレゼンテーションの様子

企業が果たす責任のあるSDGs

コペンハーゲン大学のキャサリン・リチャードソン教授は、SDGsとその可能性について説いた。SDGsには17のゴールがあるが、彼女はその17のゴールを3つのグループに分けて説明していた。

グループ1:人類に関わるゴール
1.貧困をなくそう
2.飢饉をゼロに
3.全ての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダー平等を実現しよう
6.安全な水とトイレを世界中に

グループ2:地球環境に関わるゴール
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう

グループ3:変化をもたらすためのゴール
7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう

そのうえで、彼女は、科学技術、経済、集団での行動等といった項目が含まれる「グループ3」を、変化をもたらすグループ企業が果たすべきゴールと位置づけていた。つまり、企業はこの7つのゴールを視野に入れてビジネスを考えるのが大事だということだ。

SDGsは世界で共有する目標であるため、クライアントと共有することができる。例えば、クライアントのプロジェクトの目指すビジョンが、SDGsのどのゴールになるのか当てはめることができれば、複雑な要求であっても、SDGsという共通認識のプラットホームに整理されることによって、より分かりやすくなる。

セミナー全体を通して、「明日から、小さなことからでも、普段の仕事にSDGsを取り入れよう」と感じた。それが啓蒙活動にもつながっていくからだ。
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文=蒔田智則

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