エコビレッジとは、庭や道路などのスペースを共有するコハウジングという建築手法で建てられた20〜30の住居と、そこに住む住民たちが分担して畑や耕したり家畜を育てたりしながら、持続可能な生活を追求している集落のこと。
暮らしのルールはビレッジによって異なるが、中には、太陽光や風力発電などの大掛かりのシステムによってエネルギーまで自給自足で賄おうと試みるところもあれば、ヨガ中心の生活を行っているところもある。また、宗教的な意味合いの強いエコビレッジも存在する。
1960年代後半より広まったこの手法は北欧や北米を中心に広まり、現在デンマークのエコビレッジネットワークによると、国内に約50のエコヴィレッジが登録されている。ただしこれはネットワークに登録している数であって、登録していないものを含めると100を超える数が存在しているらしい。
いいとこ取りの共同生活?
なぜ、デンマークにはそんなにもエコビレッジが存在するのだろうか? その背景には環境問題に関心が高い国民性がうかがえる。また、多くの住民の話によると、住民同士が共同作業などをおこなうことによって、人と人との結びつきが生まれて、孤独を感じにくい環境がデンマーク人に好まれているという。
エコビレッジは柵や境界線のないオープンな環境であるところが多いが、独立した住居では、個人のプライバシーも守られている。戸建て住宅と集合住宅の良いところを併せ持ったようなこの共同生活の生活満足度は高い。
手狭になった都会のアパートでの生活を脱出して、自然環境に囲まれた生活を求める若い世代から、退職して年金で生活する一人暮らしの高齢世代まで、多くのデンマーク人がエコビレッジの生活に憧れており、入居希望者のリストはとても長蛇の列になっている。
そんなことで、日本と同じように人口の流出、過疎化という社会問題を抱えるデンマークの地方公共団体は、地域の経済が活性化され、新たな税収の確保につながるという側面から、エコビレッジ招致に寛容な姿勢をとっているという。
はたして、エコビレッジは地方活性化の有効な答えなのだろうか?
地方活性化や長期持続可能な生活の答えを探すために、コペンハーゲン郊外に位置するエコビレッジ、ハリンゲリレに行ってみた。