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Institut for(X)

協力し、戦略的に“カオス”をつくることで新しいアイデアを生み出す──。世界一クリエイティブな国とも評されるデンマークの、実験的なワークプレイスを訪ねた。

デンマーク第2の都市オーフス。シティホールのある中心部の裏手には、カラフルなコンテナが建ち並ぶエリアがある。ところどころにグラフィティが描かれ、DIY感たっぷりの小屋やベンチも並ぶこの場所の名前は「Institut for(X)」。

デザイナーや建築家から、ミュージシャン、革職人に美容師まで。250人以上のクリエイターが、1500デンマーククローネ(約2万7000円)/月という安い家賃でここのコンテナや小屋をオフィスやスタジオとして使っている。

このエリアにはもともと「Godsbanen」と呼ばれる駅舎があり、2000年に駅舎が閉鎖されたのち、オーフス市はこの跡地を使って12年にカルチャーセンターを建設すると発表。09年、地元のクリエイティブエージェンシーBureau Detoursが、再開発が終わるまでの期間限定でこの土地を使う機会を手にしてつくったのがInstitut for(X)だった。

しかし、12年にコペンハーゲンを本拠とする世界的な設計事務所である3XNが手がけた「Railyards Cultural Centre」がすぐ隣にオープンしてからも、市は若者たちを追い出さなかった。入居者たちの自由と実験を愛する精神がオーフスのクリエイティブ産業を活性化し、Institut for(X)という場所自体が市のブランディングの役目を果たすようになっていたからだ。

いまではこのエリアの経済効果は年間2000万デンマーククローネ(約3.5億円)に上るといわれている。「Institut for(X)は、トップダウンで行われる都市開発とボトムアップで育まれるスタートアップカルチャーをつなげているんだ」。この場所を運営する、いかにもヒッピーらしい見た目のジョナスはそう教えてくれた。


案内役のジョナス

「バイブス」を殺さないために

ジョナスによれば、Institut for(X)が最も大事にしているのは「バイブスを殺さないこと」だと言う。ここには誰でも入れるわけではない。入居希望者は、プロジェクトの面白さや事業性の観点から厳正に審査される。

また「マイノリティープリンシプル」と呼ばれる方針によって常に「いまInstitut for(X)にないもの」をもつ人々に優先して場所を貸すことで、人の多様さと場のフレッシュさが保たれている。

文=宮本裕人 写真=デイヴィッド・シュヴァイガー

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