──なぜ、日本にとってサステナビリティへの取り組みは重要なのでしょうか。どうすれば日本に根付くでしょうか。
日本が欧米に遅れをとっている分野の一つがサステナビリティの取り組みとその開示だと思います。日本人はすごく真面目で勤勉な人が多いのに、何が世界で評価されるのかに気づかず、損をしている。これがすごく勿体無いと思っていました。
では、なぜ遅れているのか。その要因は二つあると思います。
一つ目は、欧米に比べて日本で開催される国際会議が少ないこと。グローバルな話題が日常的なトピックにならず、サステナビリティをはじめとした世界のトレンドが掴みにくい環境になっています。
二つ目は、日本はボトムアップ的な意思決定の流れが一般的とされていること。そこでは、改善は効率的にできます。しかし、土台のない新しいトピックに対しては、トップマネジメント層が気づいて主導する必要がある。そうしないと、パラダイムシフトは起きません。
サステナビリティは、日本にとって新しいトピックです。特にトップに訴えられる活動を心がけて取り組んできました。
──今後のビジョンについてお聞かせください。
エネルギー資源を輸入に頼っていた日本には、省エネを推奨する文化があります。再生エネルギーの波に少し乗り遅れていますが、再生エネルギーは今の日本に向いていると思います。
例えば、企業と自治体と電力会社で、地域単位の小規模発電を使ったサステナブルな地域活性化モデルを作れば、まだ電力が普及していない国や地域にも導入できる先進的な取り組みになるのではないでしょうか。
日本はサステナブルな分野での先駆者になれると思います。困った時は日本に頼る。そんな新しい常識が世界に広まるくらい、テクノロジーと自然の調和した先進的な国になっていってほしいです。日本人として誇りを持てる、憧れてもらえる国づくりに貢献していきたいです。