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CDP、PRI事務局・森澤充世

環境、社会、ガバナンスへの取り組みを重視する「ESG投資」が日本でも急速に広がっている。その広がりをNGOの立場から仕掛けてきたのが森澤充世だ。

森澤は勤めていた会社をやめ、環境学博士号を取得する中で、企業の環境への取り組みを促進する国際NGO「CDP」に参画。日本でも大手企業など300社以上が参加する情報開示システムに育て上げ、存在感を高めてきた。さらに、ESG投資の世界的プラットフォームである「PRI(責任投資原則)」のジャパンヘッドを務め、日本企業がESGへの取り組みを定着させるべく活動を続けている。

Forbes JAPAN WOMEN ARAD 2019、個人部門社会インパクト賞に選ばれた、森澤の「ビジョンを叶えるキャリア」とは? CDPとPRIの活動内容を踏まえつつ、彼女が描くビジョンとキャリアを聞いた。

──CDPと国連が支援するPRI(責任投資法則)について教えてください。

気候変動の影響が深刻化する中、企業は気候変動が経営リスクとして捉えて、対応する事が求められています。英国の国際NGOであるCDPは、その道しるべになることを目指しています。

具体的には、世界的なサステナビリティのトレンドを反映した設問のアンケートを作成・公開し、回答した企業にランクをつけています。企業は足りない部分を認識して、今後の活動の指針に生かすという循環を生み出します。

PRIは、2006年に当時のコフィー・アナン国連事務総長が提唱した、ESG投資のグローバルなプラットフォームです。機関投資家に対して、ESGの課題を意思決定プロセスに反映させるためのアプローチです。企業が変わるためには投資家たちも変わらなければならない。年金基金や保険会社を中心とした長期的な投資家に、サステナブルな取り組みの必要性とその分野での企業の評価の仕方を啓蒙し、賛同者の署名を集めています。

この二つの組織は全く別のもので、兼任する例は他にはないそうですが、日本では他に誰も担当しなかったので、私が両方始めてしまいました(笑)。

──サステナビリティにご興味を持ったのはどのような経緯だったのでしょうか。ご自身のキャリアについて教えてください。

大学卒業後、しばらくシティバンクで働いていました。金融機関決済リスクの削減業務が担当で、為替取引のクレジットリスクを減らす「バイラテラル・ネッティング」の日本での立ち上げに携わりました。この取り組みは、日銀や金融庁の支援を受けながら、日本の銀行とネットワークを作るというものです。この時のどんどん人を巻き込んでいき、新しい仕組みを作る成功体験は、今の仕事に繋がっていると思います。

会社からの指示でこなす仕事は成し遂げたので、次は「自分が何をやりたいか」を考えるようになりました。まず、博士号を持って何かをやろうと、思い切って仕事を辞めました。

東京大学大学院で環境学を専攻し、研究しました。在学中に日本開発銀行(当時)が主催するCDP活動のグローバル報告会に参加する機会があり、そのような活動が面白く新鮮でした。世界的に拡大する計画がある中で、日本では活動の開始の目途がたっていないことを知り、自分がやろうと決めました。しばらく進めていくと、企業を変えるには投資家の力も必要だと考えるようになりました。そこで始めたのがPRIの活動です。

どちらの組織も拡大していますが、まだ発展段階です。これからもっと日本に根付かせていく事が必要と思っています。

執筆=揚原 安紗佳

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