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キリンビール・京谷侑香

発売から1年半で5億本の大ヒット商品キリンビールの「本麒麟」の開発を主導したのは、現在、入社6年目、29歳の若手社員の京谷侑香。本麒麟を成功に導いた、失敗から得た「気づき」とキャリアを通じて実現したいビジョンとは? Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2019、個人部門ルーキー賞に選ばれた京谷に聞いた。

──本麒麟を開発したのは入社4年目ですが、それまではどのような仕事をされていましたか?

2年間、関西地域で営業を経験し、3年目でマーケティング部に異動しました。第三のビールとも呼ばれる新ジャンルのヒット商品に取り組むためです。キリンビールは、『のどごし<生>』以降、10年近く大ヒットと呼べる商品が出ていませんでした。

最初に開発に携わったのは新ジャンル12商品目の「のどごしスペシャルタイム」です。商品が店頭の棚に並んだ時、ショックを受けたのを覚えています。目立たない色で新商品だと気づいてもらえないのでは? と自分を疑いました。半年後にパッケージを変更しましたが、発売一年で終売となりました。

日本中の人達に手にとってもらえる。そんなチャンスをもらったのに生かし切れなかった、と反省しました。その頃は、顧客に商品を買ってもらうまでのイメージを描きれずに、自問自答していました。

──次の「本麒麟」の開発では、どのように気持ちを切り替えたのでしょうか。

終売後、様々なリアクションがありました。生産に携わってくれた人、営業をしてくれた人、その商品を好きになってくれた人。全ての人が関わってくれて初めて商品が発売していたのだということに、その時やっと気がつきました。

次の商品では関わった人全員を幸せにしよう。経験が浅くスキルが足りないことは前提として、それでも必ず成功させると心に決めました。

はじめに、今までの商品がなぜ失敗したのかを徹底的に分析しました。終売になった商品を開発してきた人たちに話を聞きにいって嫌がられたこともありました。ベテランから見ると自分たちのやってきたことを新人に否定されている気持ちにさせてしまったと思います。

それでも、前商品の開発で、全ての人たちが前向きに関わってくれて初めて商品が製造販売されると実感があったので、集めたデータと熱意を持って、時には200人といった大勢を相手にプレゼンや対話を繰り返しました。

マーケティングの仕事は社内外に向けた旗振り役という側面が大きい。どうすれば人に動いてもらえるのかという視点で、経営学にヒントをもらうこともありました。

発売するまでは本当に成功するのかわからない。そんな中で人を動かすので不安はありました。今やっていることはあっているよね、と小さな成功を積み重ねて学びながら、常に進化させなければならない。自分を疑うことと信じることのバランスに注意していたと言えると思います。

執筆=揚原 安紗佳

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