「エンタメ系のメディアも数多くあり、アーティストのSNSアカウントも増えてきている。情報の絶対量が増え、追いたい情報を追うのが大変になってきている。また一方で、ファンに情報を届けたいアーティストも適切に情報を届けられなくなっている。実際にファンやアーティストに話を聞いても、お互いに共通の課題として認識していたので、これは解決すべき問題だと思い、チケット見逃し防止アプリを手がけることにしました」(浅香)
2019年5月にリリースされたFreaxは、アップルミュージックやスポティファイで聞いている音楽、アイフォンに入れている音楽データを連携させると、普段聴いているアーティストをフォローすることができる。フォローが完了すると、カレンダー上でいつライブがあるのか常に最新のチケット情報を確認でき、「チケットの情報が解禁されたタイミング」「チケットが発売されたタイミング」と「申込み期限の前日」がプッシュ通知で受け取れる。
「行きたい」と思ったライブが見つかれば、Freax上で申込むことも可能だ。チケットぴあ、ローチケ、イープラス、楽天チケット、Yahoo!チケットに対応しており、一括でチケット情報が閲覧でき、チケット情報が申込みページへのリンクになっているので、各サイトへと動線が切り替わるなどの手間もない。
プッシュ通知の許諾率は約80%
現時点で3万以上のアーティストに対応。1ユーザーのフォローアーティスト数は平均19組で、合計で7300組以上のアーティストがすでにフォローされているという。またプッシュ通知の許諾率は約80%と驚異的な数字を出している。
「プッシュ通知の許諾率は一般的に10〜15%と言われています。そうした中で約80%を記録できていることは、それほどファンがライブやチケットの情報を見逃さないようにしたいという証拠になっていると思います」(露木)
熱狂的なファンはファンクラブに入り、アーティストのホームページまで足を運んで能動的に情報を取りに行くが、多くの人は違う。アーティストがファン層を広げ、より多くの人に知ってもらうためには、いかに“なんとなく気になっているけど、まだライブに行ったことがない人”にアプローチできるか、がカギになってくる。そういう意味において、Freaxはアーティスト、ファンの双方にとって便利なサービスと言えるだろう。
「“体験価値”の重要性が高まっていて、昨今はライブの回数も増えている。数で言えば、10年前の2倍くらい。需要の高まりに対して、情報が発信されるチャネルもSNS・メディアの発展により絶対数が増えている。しかし、ツイッターなどのSNSも機械学習、最適化が進んでいくと気になるアーティストの投稿、情報が出ないことがある。
だからこそ、今後はFreaxをアーティストの基本情報を全部追える『アーティストとファンをつなぐ情報プラットフォーム』にしていきたいと思っています」(浅香)