プーチン大統領、環境意識高め? シェール開発「おぞましい」と断固反対

ロシア ウラジーミル・プーチン大統領 / Getty Images


国際エネルギー機関(IEA)によると、バジェノフ層は世界最大のシェールオイル・ガスの埋蔵量を誇るものの、現時点ではほぼ手つかずのままとなっている。ガスプロムネフチは、早ければ25年にも同層からの商用生産を開始したいと考えており、また現在、ロシア国内の約30か所でフラッキングを行っているという。

もちろん、フラッキングによる開発はロシアの原油・ガス生産で頼みの綱となるようなものではないだろう。しかし、プーチンが知っているかどうかはともかく(おそらく知っているだろう)、ガスプロムネフチがそうした開発を進めようとしているのは確かだ。

プーチンは今回のフォーラムの席で、欧州諸国が気候変動と闘うために化石燃料を拒絶するようになっている点についても問われた。ロシアは、欧州にとって天然ガスの最大の供給国である。

プーチンは、風力や太陽光への切り替えがゆっくり進むだろうとしながらも、化石燃料を原子力で置き換えていかなければ、欧州は「石器時代」に逆戻りするとも警告した。11年に日本の福島第1原子力発電所で起きた事故の後、ドイツは原発の段階的廃止を決めている。

「欧州で天然ガスの需要が減っているのは、主として欧州経済が減速しているからだ」とプーチンは説明し、こう続けた。「だが、中国はなお成長している。インドも成長している。成長のスピードは以前ほど速くないかもしれないが、それでも成長しているのは確かだ。両国は、しばらくはまだ原油とガスが必要になるだろう」

ロシアは二酸化炭素の排出量削減に向けたパリ協定と京都議定書に署名しており、18年に公表された欧州連合(EU)の調査研究によると、1990〜2017年に炭素排出量を約25%減らしている。ただ、それは同期間にロシアが3度にわたって経済危機に見舞われたことが主な原因だとされている。一方、米国はこの期間に排出量を0.4%増やし、中国とインドは石炭火力発電に大きく依存して工業化を急速に進めた結果、3倍強に増やしている。

プーチンは同じ席で、政府系ファンド「国民福祉基金」の余剰資金について、政府は原油・ガス開発に投資するのではなく、資源以外の事業、具体的には人工知能(AI)のようなハイテク分野に投資することになるとも語った。

編集=江戸伸禎

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