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貿易問題を巡る緊張が、中国経済の成長を鈍化させている。世界的なサプライチェーンの見直しや債務増加の抑制(景気を刺激するため、最近になってまた拡大)がなければ、力強い成長を続けていただろう。

中国の貿易相手国には、米政府と言い争いをしている国はないかもしれない。それでも各国は、米中の貿易戦争から影響を受けている。最も影響が大きいのは、以下の3カ国だ。

1. 韓国

韓国は中国にコンピューター部品を供給している。関連業界には、米国が「動く標的」とする企業が数多くある。その一つが、米政府と争う中国(そして世界)の通信機器大手、ファーウェイ(華為技術)だ。米政府と同社の争いが収まったとしても、韓国のテクノロジー産業にとっての逆風は続くことになるだろう。

さらに、サムスンをはじめとする韓国企業は、中国製品との競争の激化に直面しており、シェアを奪われている。

また、中国経済の減速は、2030億ドル(約22兆円)に上る韓国の対中輸出額が減少する可能性があることを意味する。韓国からの輸出は、25%以上が中国本土向けだ。

2. ブラジル

中国は鉄鋼の原料である鉄鉱石ペレットから大豆まで、商品の多くをブラジルからの輸入に頼っている。ただ、ブラジルは今年、中国向けの輸出品のリストから、少なくとも300万トン分の大豆を除外することになるかもしれない。中国政府が同じ量の大豆を、米国から輸入することを許可したためだ。

中国は昨年、米国産の大豆の輸入量を大幅に減らし、一方でブラジルからの輸入を1000万トン以上増やしていた。

3. チリ

チリの最大の貿易相手国は、中国だ。世界銀行によると、輸出の27%が中国向けとなっている。チリが生産する銅などの非鉄金属の多くは、中国向けに輸出されている。だが、中国では固定資産の投資と建設事業が減少していることから、銅の輸入量は減少している。

各国に及ぶ影響

中国はこれら3カ国にとって、最大の輸出先だ。そして、米国にとっては最大の輸入相手国となっている。アップルやナイキなどの多国籍企業が中国で生産する製品を輸入している。

米国の経済成長は、それほど外国市場に依存していない。だが、ベトナムやマレーシア、シンガポール、タイなど、比較的小さく開かれた市場であるアジア各国の経済においては、貿易が対GDP(国内総生産)比で最も大きな割合を占める。さらに、雇用も外国の需要によって支えられている。一方、南米では、貿易が国の経済に占める比率は比較的小さいものの、メキシコとチリは例外だ。

仏銀行BNPパリバのエコノミストは、新興市場の中でも規模の大きい国のうち、中国に関連して最も厳しい状況に置かれているのはブラジルだと指摘している。「ブラジルの輸出相手国に占める中国の割合は、その他のアジア各国に比べて大きい」ためだという。

米中貿易協議が決裂すれば、上記3カ国とその他の中国の貿易相手国は、それぞれ影響を受けることになる。その影響はプラス(ブラジルから中国への大豆の輸出の増加)になる場合も、マイナス(中国がテクノロジーに関して内向きになり、韓国企業に輸入ではなく中国での生産を要請)になる場合もあるだろう。

編集=木内涼子

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