高校生ハンドボールに10万人が興奮! マイナースポーツの感動を共有する観戦革命

尾形太陽

目指すは、第3のスポーツエンターテインメントをつくること。Forbes JAPANが初めて開催したスポーツビジネスアワードで、テクノロジー賞に輝いたookamiのPlayer!は、テクノロジーの力でスポーツ観戦に革命を起こす。

スタジアムやテレビでは感じられない新体験はいかに生まれたか。(2019年10月25日発売のForbes JAPAN12月号「スポーツ×ビジネス」特集にて、アワードの全記事を掲載)

スポーツエンターテインメントの本質的な価値とは? 観戦アプリ「Player!」を提供するookami代表の尾形太陽は、明確にこう定義する。「スポーツの価値は、『瞬間』に宿ります。ゴール、スーパープレー、トーナメントの優勝が決まる瞬間。観客の興奮が最高潮に達する瞬間の価値を、いつ、どこにいても提供したいんです」。その思想の下、つくられたPlayer!は、50年以上変わらなかったスポーツ観戦のスタイルに革命を起こした。
 
スポーツ観戦はスタジアムやテレビ中継による観戦が主流だ。しかしPlayer!ではユーザーに対し、試合を映像ではなくテキストによる速報データで実況する。「日本代表が決勝に進出しました!」など誰もが見逃したくない決定的瞬間をスマホに通知するのだ。さらにユーザー同士のコミュニティー機能を搭載。喜怒哀楽を表す顔文字のスタンプやライブチャットで、瞬間の熱狂を共有できる。この「第3の観戦スタイル」を生んだPlayer!にスポーツエンターテインメントの未来を託す投資家や企業から、ookamiは数千万円、数億円規模の資金調達を次々と達成した。その なかには、為末大、本田圭佑、NTTドコモ・ベンチャーズといったそうそうたる名が並ぶ。

10代のころからスポーツビジネスで起業を志していた尾形は、2014年にookamiを創業し、Player!を開発した。当時を尾形は「失敗続きでしたね」と苦笑しながら振り返る。最初はスポーツ情報をまとめるキュレーションメディアとしてスタート。しかしユーザーは集まらず、軌道修正した次の取り組みではコミュニティー機能を搭載。そこでサッカー日本代表戦のようなメジャースポーツの速報を配信するが、成果は上がらなかった。大手ニュースメディアとの差別化ができていなかったからだ。
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文=田中一成 写真=宇佐美雅浩

この記事は 「Forbes JAPAN 「スポーツ × ビジネス」は、アイデアの宝庫だ!12月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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