エアビーは今年に入って、有給休暇を活用し、人々や社会に恩返しする活動に参加し、人生に変容をもたらす体験を促すことを目指すプログラム「サバティカル」を開始している。
第一弾のプロジェクトとしてすでに実施されたのが、イタリアのNGO「Wonder Grottole(ワンダー・グロットレ)」との地方再生プロジェクト「イタリア、サバティカル休暇の旅」だ。これは存亡の危機に瀕する南イタリアの歴史ある村、グロットレにボランティア5人が3か月間在住し、村の活性化を支援するというもの。今回発表された「南極研究の旅」はそれに続く第二弾のプロジェクトになる。
この旅の目的は、「世界で最も未解明な部分が多く、最も隔離された生態系に人類がもたらす影響への理解を深め、人々の意識を高めることにある」という。
プロジェクトのスタートは2019年12月の予定。現在、ボランティアを募集中(本日で終了)だが、エアビーの広報によれば、発表からわずか2週間で世界中から数万人の申し込みが来ているという。
今後、選考を通過した5人のボランティアは、南極科学者であるキースティー・ジョーンズ=ウィリアムズ氏とともに、チリで2週間のトレーニングを受け、南極に渡って10日間の調査研究を行う。南極での調査後は再びチリに戻り、南極での調査や学びを体系化する予定となっている。
前回のプロジェクトは「地方再生」が目的だったが、なぜ今回、南極の「環境保護」を目的としたプロジェクトが始まることになったのか。Forbes JAPAN編集部は南極科学者のキースティー・ジョーンズ=ウィリアムズ氏に話を聞いた。
南極科学者のキースティー・ジョーンズ=ウィリアムズ氏
「科学的なコミュニティに貢献する」
──どのような経緯で、このプロジェクトがスタートしたのでしょうか?
エアビーアンドビーは、「サバティカル」というプログラムを実施するにあたって、どんな目的、どんな意味がある旅行にするかを考えています。貴重な時間をとり、仕事を休んで行くわけですから、旅の目的や意味というのは非常に重要です。
また、彼らはさらに持続可能な旅行を考えており、「環境に貢献する」という思いを強く持っています。南極にとって環境問題は重要なトピックのひとつと考えたようで、今回私たちに声がかかりました。
最初に話を聞いたときは、なぜエアビーのような会社が南極、ひいては科学的なコミュニティに貢献するのか、あまりピンと来ていませんでした。ただ、自分自身で「サバティカル」というプログラムについて調べていくと、彼らが私たちに話を持ち込んできた理由がとても理解できました。
とても強い思いで科学的なコミュニティに貢献しようとしている。私はこのプロジェクトは素晴らしいものだと思いますし、今回一緒にプログラムを実現できて、非常に嬉しいです。