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I cover geology, earth science, and natural disasters.

Volodymyr Goinyk / Shutterstock.com

北半球では夏の暑さが本格化する中、南極では地球とは思えないほどの寒さのマイナス97.8℃という史上最低気温をマークした。これは人間が数回呼吸しただけで肺から出血して即死するほどの気温だ。

気温は南極で太陽が昇らない時期に衛星から測定された。学術誌「Geophysical Research Letters」で発表された今回の測定値は、地球上で理論上ありうる最も低い気温に近い。

地球上で最も気温が低い地点を探すため、研究チームは南極のドーム状の氷の最も高い地点を特定した。それが1万3300フィート(約4000メートル)の地点で、氷には小さなくぼみがあり、冷たい空気が風に吹き飛ばされずに溜まる状態になっている。

まさにこの部分で測定されたのが、マイナス97.8℃という史上最低気温だった。これまで最も低い気温だったのは、1983年に南極点に近いロシアのボストーク基地で記録されたマイナス89.2℃だった。

これほどの低温を記録するにはコンディションが完璧に整わなくてはならない。まず太陽が昇らない真冬(南半球は現在、冬にあたる)である必要があり、空が完全に晴れ渡っていてほぼ無風の状態で、水蒸気は熱を保持する性質があるため湿度も極めて低くなくてはならない。

話が少し脱線するが、湿度が高いと気温が下がりにくいことは多くの人が知っているかもしれない。アメリカで最も湿度が高い地域の1つであるメーン州のバー・ハーバーでは筆者が調べた時点での湿度が100%だった。最高気温が16℃、最低気温が15℃とわずか1℃しか差がない。これは湿度が100%であることによって夜になっても熱が放出されないからだ。

また、アメリカで最も乾燥している地域の1つがユタ州のモアブで湿度はわずか5%だった。そして最高気温が39℃、最低気温が21℃と、日中と夜間では18℃も差がある。これは熱を保持する水蒸気がほとんどないからだ。

湿度が極めて低く、南極で最も高度が高い場所にあるくぼみの中において、地球上で最も低い気温が記録された。

コロラド大学ボルダー校にある米国雪氷データセンターの研究主任Ted Scambosはナショナルジオグラフィックに対し、「地球の限界の環境であり、それはまるでほかの惑星のようだ」と語った。

編集=上田裕資

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