ビジネス

2019.10.10

「にわか」が集う街。丸の内が「ラグビーの新聖地」になれた理由

ラグビーワールドカップ観戦で盛り上がる丸の内の様子

ラグビーが盛り上がっていますね。日本代表の大活躍もあって、大会が始まる前までは「五郎丸」しか知らなかった人たちが「まつしまーっ!」って絶叫したり、ニュージーランド代表のハカにはいくつも種類があることを、したり顔で語ったりするようになりました(僕のことです)。

実は僕はこの1年ちょっと、「丸の内15丁目PROJECT.」というラグビーのプロジェクトの企画立案、そして実行に伴走してきました。「丸の内15丁目PROJECT.」というのは、ラグビーを色々な角度から盛り上げようとする三菱地所グループのプロジェクトです。

ちなみに、実際の丸の内には番地は3丁目までしかありません。ですから「丸の内15丁目」というのはまったくの架空の街で、ウェブ上にあるバーチャルタウンです。ここでは、様々な施設が作られていきます。たとえば、映画館とか美術館とかレストラン街とかビジネススクールとか、ウェブ上の話なのでさくさく進みます。「映画館欲しくないですか?」「いいね、つくっちゃおうか」(決断まで5秒)という感じです。

でも、ここからが大切です。せっかく三菱地所グループはたくさんの商業施設や場所をもっているわけだから、このバーチャルでつくった施設をリアルに落とし込んでしまおう、というのがこのプロジェクトの肝で、面白いところです。これは、「映画館リアルに作っちゃいましょうよ」「え、まじで? ……うん、やりますか」(実現までの想定時間2カ月)となります。



三菱地所は街づくりのプロフェッショナルです。だったら、ラグビーW杯のアクティベーションだからといって、ラグビーに関する何かをやり始めるよりも、自らのプロフェッショナリズムが一番発揮できる街づくりにラグビーを引き寄せていったほうがいいのではないかと思っての提案でした。

架空の街から始まる、リアルな物語

この口当たりのいい言葉で始まった「丸の内15丁目PROJECT.」ですが、正直簡単にはできないよなと思っていました。僕は常々「企画力より着地力」だと思っています。せっかく思いついた企画も着地=実現させなければなんの意味もないわけです。ところが、W杯やオリンピック・パラリンピックというのはレギュレーションが厳しく、愉快な企画も着地させるのは大変じゃないかな……と思っていたのです。

でも、それは杞憂に終わりました。三菱地所ラグビーワールドカップ2019プロジェクト推進室(通称、ラグビー室)のみなさんは、すべての困難を一つ一つ取り除いて、すべての妄想を実現させていきました。
次ページ > 架空の街から始まる、リアルな物語

文=小国史郎

ForbesBrandVoice

人気記事