食品廃棄の解決策に? クローガーが農産物の劣化防ぐ塗布剤導入

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アピールの従業員は30人ほどから150人以上に成長し、同社は現在オランダ、ペルー、メキシコに3つの国際出張施設を設けている。また中南米では、さらなる機会を模索中だ。

アピールは役員チームを拡大し、3人を新たに経営幹部に任命した。このうちの一人で技術起業家のビル・ストロングは、主に研究開発ベンチャーだった同社の拡大を支援し、約1億1000万ドル(約120億円)の資金を調達する世界規模の営利事業となるまで成長させたことを評価されて最高財務責任者(CFO)に任命された。

アピールは、同社創業者であるジェームズ・ロジャーズ最高経営責任者(CEO)のアイデアで、ロジャーズの科学分野での経歴に由来するものだ。ロジャーズは、アピールにより米誌フォーチュンの「40アンダー40」に選ばれている。

アピールは植物から抽出した有機脂質由来のスプレーで、色や匂い、味がなく食用に適しているため、野菜や果物の外側の皮に塗ることができる。同製品は世界資源研究所(WRI)の「世界資源報告書(WRR)」で次世代のアプローチと評され、それぞれの果物や野菜に合わせて作られている。

ロジャーズは「この追加の“皮”が、それぞれの農産物の内側に微気候を作り出す。この微気候は農産物と一緒に移動し、地球上の全ての農産物を腐らせる原因である水分喪失や酸化のスピードを遅らせる」と述べた。

アピールとクローガーの提携により、毎年数百万の農産物が埋め立て処分されずに済むことが期待されている。それにより、数十エーカーにわたる農地の保全や、数千トンの温室効果ガス排出量の削減、約38億リットルを超える水の節約、10万ギガジュール以上の非再生エネルギーの節約などの効果が見込まれる。

アピールは先日、英国第2の食料品販売企業アスダ(Asda)との提携を通し、英国でも試験を行うことに合意した。これは、米国以外の場所でアピールを施した農産物が間もなく出回る可能性が高いことを示している。

今後のアピールの動きに注目しよう。同社の製品は見えづらいものでも、会社の知名度は今後さらに高まるはずだ。

翻訳・編集=出田静

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